飛島建設、住友林業、ミサワホームの3社が共同開発を進める「丸太打設軟弱地盤対策&カーボンストック工法(LP-SoC工法)」が2019年度にも実用化されそうだ。同工法は、自然の丸太を地中に打設することにより、軟弱地盤の補強と炭素の貯蔵を同時に施すもので、地球環境対策や国産材の利用拡大につながると期待される。
飛島建設、住友林業、ミサワホームの3社は2018年8月9日、木材を活用した地盤補強工法で日本建築センター(BCJ)の評定を初めて取得したと発表した。
3社は兼ねてより、新しい軟弱地盤対策工法として木材を使った「丸太打設軟弱地盤対策&カーボンストック工法(LP-SoC工法)」の共同開発を進めてきた。これは、皮を剥ぎ両端面を平坦(へいたん)に切断したスギ、カラマツ、ヒノキなど生の丸太によって、建物が不同沈下しないよう地盤を補強するもの。
いわゆる「木杭」は、同形状のコンクリート杭や鋼管杭に比べ、垂直方向の力を支える「鉛直支持力」が大きいとされるものの、戦前・戦後の森林資源の枯渇、鉱物といった地下資源の利用拡大などにより、1950年代を境に使用の頻度が減少傾向に転じ、現在となってはほとんど使われていない。
「LP-SoC工法」は、主に粘性土の軟弱地盤を対象とし、丸太周面の摩擦力と先端支持力で地盤を補強する。丸太は、地下水位より深い位置に打設することで、酸素不足によって木材不朽を防ぎ長期間健全な状態を保持。これにより、光合成で大気の二酸化炭素から吸収・固定した「炭素」を半永久的に貯蔵でき、地球温暖化の防止に貢献する。自然材料であることから、地下水位汚染の心配もいらない。さらに、丸太の形で木材を使うため、加工の手間が少なく、歩留まりの高い木材使用ができる。
日本は、沖積平野や埋立地などの軟弱地盤が国土面積の10%程度にしかすぎないものの、そこに人口の約半数と資産の75%が密集しており、生活していく上で軟弱地盤対策は必要不可欠なものとなっている。軟弱地盤は柔らかく、地下水位が浅いことが特徴である。
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