大成建設は、地震発生直後の各建物の状況を評価した情報を被災履歴などともにクラウド上で管理できるモニタリングシステムを開発した。災害時に事業継続や復旧を図るためのBCP支援ツールとして展開していく。
大成建設は、地震発生直後における各建物の構造健全性をまとめて評価し、建物の震動に関するデータや被災履歴を含む各種関連情報をクラウド上で一元管理できるモニタリングシステム「T‐iAlert Structure 拡張版」を開発した。同システムを導入することで、建物所有者や施設管理者などが、全国各地と特定区域にある対象建物の被災状況を一括で確認でき、BCPの初期対応における支援が容易となる。
T‐iAlert Structure拡張版は、加速度センサーから得られたデータを基に、独自の推定手法で、建物に生じた変形角(層間変形角)を予測。その結果から、地震発生直後の構造健全性を「安全、要点検、危険」の3段階でスマートフォン上の専用アプリに表示する。
計測には、無線加速度センサーを利用するため、従来は数日を要していたセンサー設置作業を半日に短縮。また、センサーは、少ない設置台数で運用できるため、初期導入費用を大幅に抑えられる。
加えて、建物ごとに過去の計測・分析データがクラウド上に蓄積されるため、長期間にわたる建物の被災履歴を確認することも可能になる。
現在、同社の支店などに試験導入し、データ計測および構造健全性の評価精度、システムの安定性・操作性を検証するための実証試験を開始している。今後、実証成果を踏まえて、システムの改善を図るとともに、BCP支援ツールとして、さまざまな用途の建物の新築・改修に対して提案していく。
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