東大発無線通信ベンチャーのソナスは、橋梁などのインフラや設備のモニタリングに利用できるひずみ計測システムと、無線振動計測システムを開発した。
ソナスは2019年5月、インフラ/設備のモニタリングでの用途を見込み、高精度なひずみ計測システム「sonas st01」と、無線振動計測システム「sonas x02」を発売した。
2つの計測システムは、電池駆動のセンサーユニット(子機)を調査場所に複数設置し、ベースユニット(親機)で各ポイントのひずみや振動といったデータを取得する。現場での装置の設置や計測をサポートするWindowsソフトウェアと、遠隔でのモニタリングを可能にするクラウドサービスも用意されているため、幅広い用途で活用できる。これまでにソナスの計測システムは、橋梁(きょうりょう)をはじめ、建造物の構造ヘルスモニタリング、工場/倉庫の設備などでの予知保全として導入が進んでおり、今回、対応機種を増やすことで活用シーンを広げる狙いだ。
sonas st01は、ルネサスイーストン製ひずみセンサー「STREAL」に初対応した無線ひずみ計測システム。トルク、引っ張り、せん断力、低周波振動などを検出する。STREALは、2.5ミリ角チップにセンサー素子と周辺回路(A/D、アンプなど)を集積。コンパクトでありながら、1キロの物体が1ミリ伸び縮みするひずみ量1マイクロストレインを感知する高い精度も有している。加えて、低消費電力や長期の性能安定性も誇るなど、常時計測に適したセンサーといえる。
一方の無線振動計測システムsonas x02は、セイコーエプソン製デジタル3軸加速度センサー「M-A352」に対応している。ノイズを抑え、高い分解能と安定性を保ちながらのセンシングが実現する。地震計測や構造ヘルスモニタリング、環境振動の計測などの用途が想定される。
M-A352自体は、従来品(M-A351)に比べ、4倍となる1200Gまで耐衝撃性を高めた。独自のダイレクトデジタル変換技術を採用しており、低ノイズ化と、低ジッタ外部トリガー機能を備え、高精度の時刻同期が可能になった。計測ダイナミックレンジは27bit。
ソナスは、有線による計測品質並みのセンシングを無線で行う次世代マルチホップ型無線通信プラットフォーム「UNISONet(ユニゾネット)」を展開し、今回市場に投入した2システムにも適用。UNISONetは、転送方式に「同時送信フラッディング」を採用し、IoT無線に求められる年単位での駆動を継続させる省電力性、高速でロスのないデータ収集、マイクロ秒単位の時刻同期などが実装されている。
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