NTTファシリティーズは、被災時に判断が難しかった低層建物の安全度を判定するシステムを開発し、販売を開始した。
NTTファシリティーズは東日本大震災をきっかけに高まった建物の継続使用に関sる安全度調査の負担軽減に対するニーズに応えるため2013年に中高層建物の安全度を判定する「揺れモニ」を開発。現在までに35棟のビルに導入されている。
今回はこの「揺れモニ」に新たなパラメータを追加することで、従来は判定が困難だった低層建物の安全度を判断できるようにした。これにより、庁舎や学校をはじめとする公共施設やオフィスビル、工場などの低層建物の継続使用に関する安全度の判定が可能となる。低層から中高層まで建物の規模に関係なく安全度を判定できるようになった(図1)。
新たに低層対応にするため開発した技術は「安全度判定パラメーター追加による多角的分析」と「地震計の計測データを活用」でどちらも特許出願済みとしている。
「安全度判定パラメーター追加による多角的分析」は、中層以上の建物安全度判定に活用しているパラメーター「変形」「固有周期」「傾斜」の3つに加え、「揺れの強さ」と「揺れ方」の2つを新たに追加した。
「地震計の計測データ活用」については、全国70カ所のNTTビルにおいて蓄積された地震観測データと構造解析技術の活用により、パラメーターの妥当性を検証している。
その他にも外壁、天井など非構造部材の被害予測や、風雨モニタリング機能などを追加している。今回の判定パラメーター追加により、建物の規模に関係なく導入が可能となったこで、比較的低層が多い避難所など、重要な建物に適用できるようになった。これらの建物に「揺れモニ」を導入することで、使用可否の判断時間が大幅に削減でき、速やかな復旧作業への移行に貢献できる。今後はオフィスビルや公共施設などだけでなく、複数ビルのオーナーや工場に対しても提案を進め、年間150棟の導入を目指すという。
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