鹿島建設は、超高層建物を対象とした超大型の制震装置「D3SKY(ディースカイ)」を振動周期が変動するRC造のビルにも適用できるように改良したセミアクティブ制御(電気制御)式の「D3SKY-RC」を開発した。RCに加え、SRCの超高層マンション、RC造の超高煙突で適用が可能になり、風揺れから大地震まで、さまざまなレベルの揺れを抑制する。
鹿島建設は、2013年7月に開発した既存超高層建物用の超大型制震装置(TMD)「D3SKY(ディースカイ)」を拡張し、地震や経年変化により振動周期が変動するRC(鉄筋コンクリート)造の構造物へ適用が可能なセミアクティブ制御(電気制御)式のTMD「D3SKY-RC」を開発した。
開発の背景には、RC造の建物は、地震や経年変化によって、固有周期が長くなる性質があるため、建物の振動周期と、地震の震動を抑制する制震装置の設定周期がずれてしまい、十分な制震効果が得られない課題があった。
そこで、鹿島建設は、TMDの周期を対象建物の振動周期に追従するように、制御できるセミアクティブ制御式TMD「D3SKY-RC(Resonance Control)」を開発した。これにより、RC造やSRC(鉄骨鉄筋コンクリート)造の超高層マンション、RC造の超高煙突などにも制振装置を適用することが可能になった。
D3SKY-RCは、新しい制御アルゴリズムを備え、年単位の長期的な周期変動だけではなく、地震動の最中に時々刻々変化する構造物の振動状態に追従し、揺れを効果的に抑制。風揺れから大地震まで、さまざまなレベルの揺れに有効で、方向による周期の違いにも応じ、建物全方向の揺れに対応する。
TMDを設置した場所の情報のみで、建物の振動周期を判断するため、D3SKY-RC以外のセンサー機器などの設置や配線は必要としない。屋外にも対応し、建物屋上や煙突など、さまざまな場所に配置することができる。
消費電力は、制御時でも150W(ワット)程度とわずかで、小型の無停電電源装置(UPS)で停電時にも作動する。万一の断電時には、パッシブ型のTMDに切り替わり、さらに設計想定以上の地震時にも錘(おもり)の動きを安全に制御するソフト・ハード両面のフェイルセーフ機構が内蔵されている。
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