マンホールをIoT計測しAIで異常検知など、下水道新技術9件を国交省が研究対象に採択(3/3 ページ)

» 2019年05月17日 06時24分 公開
[谷川整BUILT]
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「FO膜」を用い超省エネ型下水処理システムを構築

 下水道応用研究はのうち、三菱ケミカルと東京農工大学は、「新規高性能ガス透過膜と高解像度モニタリング技術を導入した膜曝気型バイオフィルム法による排水処理の省エネ化」を研究。MABR(膜曝気型バイオフィルムリアクター)の実用化に向け、パイロットスケールの試験機を用い、バイオフィルム評価、制御技術、モジュール構造、運転条件を検討する。

 造水促進センター、北九州市立大学、長崎大学、水ingエンジニアリング、日本水工設計の6者は、「FO膜を用いた超省エネ型下水処理システムの開発」に着手する。下水処理場の省エネ化と創エネ化を同時に実現するため、FO(正浸透)膜処理を採用した下水濃縮技術と嫌気性処理によるエネルギー回収技術を中心に、活性汚泥法を使用しない新たな下水処理システムの社会実装に取り組む。

 鹿児島大学、土木研究所、いであは、「下水処理場における硝化阻害物質の高効率探索システムの開発」に取り組む。流入下水などに含まれる硝化阻害物質を、質量分析計と硝化菌を用いて探索し、一斉分析法を開発する。併せて、全国の下水処理場における硝化阻害対策を調査。これらの結果をもとに、阻害発生時に迅速に原因物質を推定し、効果的な対策案を提示するシステム開発を狙う。

 山形大学、鶴岡市、日水コン、岩手大学、鶴岡市農業協同組合の5者は、「下水道資源を最大限に活用した飼料用米栽培技術の開発と下水道の新たな役割の創造」を実施。下水処理水、汚泥コンポスト、余剰汚泥分離液を活用した高タンパク飼料用米栽培技術の開発と、栽培された飼料用米で家畜の給与試験を行う。下水道事業として飼料用米を栽培し利益を得るシナリオなども視野に入れている

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