三菱地所が立命館大キャンパスで日本初の運搬ロボ「Marble」など導入し、2020年に社会実装目指す三菱地所と立命館大がロボット実証実験で協定(2/3 ページ)

» 2019年03月29日 08時00分 公開
[石原忍BUILT]

三菱地所内に2019年4月に「DX推進部」が誕生

 検証では、こうしたロボットを1台1台テストするだけでなく、複数を組み合わせ、ロボット同士の連携をテストし、将来的には施設管理の一体的なソリューションとして提供することを見据えている。大学での実験後には、ロボットのキャンパス実装と、社会実装のためのガイドラインを2020年度下期以降にとりまとめる。

戦略的DXパートナーシップ協定の概要

 パートナーシップ協定締結日には、三菱地所本社で同社執行役社長の吉田淳一氏と立命館大総長の仲谷善雄氏が会見を行った。三菱地所の取り組みでは現在、急速な事業環境の変化に対応し、社会課題を解決するためデジタルテクノロジーを活用したビジネスモデル革新のDXを推進している。社内では、ショーケースとなる三菱地所本社機能の移転をはじめ、2018年11月に設立した「DX推進室」が2019年4月には「DX推進部」へと昇格し、今まで以上にDX推進に注力する。

 対外的な活動では、セキュリティロボット「SQ-2」を開発した明治大学発ベンチャーのSEQSENSEに代表されるように、国内外のスタートアップやベンチャーキャピタルに累計100億円以上を出資。こうしたスタートアップ企業がイノベーションを起こせるような場「Inspired Lab」も東京・丸の内エリアに2019年2月オープンさせてもいる。

パートナーシップの推進責任者に就く、立命館大副総長の松原洋子氏

 DXの一環であるロボットに関して、吉田氏は、「施設管理の効率化・高度化に役立つ先進技術として、その他の取り組みに先駆け先行して展開している。フェーズ1では実証・活用、フェーズ2で法整備やプラットフォーム化、フェーズ3で2019年度中にも本格的な事業展開というロードマップを掲げている。大半の企業はまだフェーズ1の段階だが、立命館大との協定で1段階上がり、学校施設でのロボティクス活用や管理の効率化・高度化を図る他社に先駆けた試みを行う。経産省のロボット政策室との協議も進め、産学だけでなく、産官学の連携で、“次世代型の施設管理モデルを構築していく」と語った。

 実証実験の場を提供する立命館大は、副総長の松原洋子氏がパートナーシップの推進責任者に就任する。2018年に策定した学園ビジョンR2030「挑戦をもっと自由に」で掲げる6つの政策目標のなかで、今回の協定は「未来社会を描くキャンパス創造」にあたる。キャンパスをモデルフィールドと見なし、人材不足、高齢者の増加、働き方改革の課題を解決するサービスロボットの社会実装を目標に定める。

 立命館大総長の仲谷善雄氏は、「本学は4万1654人の大学生、5065人の留学生、6949人の付属小中高構成数、障がいを持つ学生数123人、教職員数3463人など多様な方が在籍し、ダイバーシティーが進んでいる。この場所にロボットを導入することで、さまざまなニーズを集め、社会実装に向けたいろんな課題を浮き彫りにすることが可能だ。実証実験を通して、キャンパスでロボットが動いているのが当たり前になる、人とロボットが共存した未来型キャンパス環境の構築を進め、“課題解決の先進大学”となることを目指したい」と展望を語った。

立命館大の目指すビジョン

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