また、世界的な潮流として、イギリスのBIM義務化を筆頭に、ゼネコンだけでなく、国、地方行政、民間でBIMの標準化プロジェクトは始まっており、国内でも土木でのi-Construction、建築でも営繕工事で深化は徐々に進んでいる。
だが、他の業種に比べると、建設業ではデータの取り扱いに関してはまだまだ分散されており、中心となるクラウドデータも少なく、共有や連携が薄い。逆に言えば、だからこそビジネスチャンスがあるが、将来的にBIMの義務化が進めばデータは膨大になり、管理が難しくなる。オートデスクでは、BIMとクラウドを活用させた共通データ環境「コネクテッドBIM」で、IoTやファシリティマネジメントなど、建設以外での活用も見据えたソリューションを提供していくことを提示した。
これからのBIMの浸透については、「今の段階では3DCADとそれほど変わらない。データの標準化などの課題をクリアするためには、国が推し進める働き方改革がカギとなるだろう。オーナー、発注者が、(生産性向上や品質の向上など)何を重視してコストを回収していくか、こうした考えが広まっていくことが重要だ」とした。
大和ハウス工業が目指す「D's BIM」については、技術本部 BIM推進部次長の伊藤久晴氏が紹介。「顧客満足度の向上と働き方改革を目的に、紙中心とした仕事からの脱皮を目標に、完全に業務をBIMに移行する。まずはフロントローディングで、見える化や高品質化、さらに維持管理サービスで、顧客満足度を向上させ、それが施主の意思や建物仕様の決定の早期化につながる。次にBIMによって、整合性の高い設計や2重作業の削減がもたらされて、結果として働き方改革が実現する」という。
具体的な移行計画では、2018年10月〜2019年3月の下期で、設計・施工を手掛けた717件の建物のうち、初年度の1割にあたる小規模な物件の71件で、設計にBIMを適用。2019年4月からは20億円以上の物件は全てBIM化して順次、拡大し、2020年には全ての設計でBIMを採り入れる。BIMは一気通貫のため、設計の情報が施工につながらなければならないため、施工はその後、2020年から本格的に移行し、2022年に全件でBIMに移る。なお、戸建てについては2019年中ごろから着手し、集合住宅は現状で50%、いずれも2020年中には100%を目指す。
また、協力会社との連携については、これまでにアンケートを取り、意欲的な会社についてはRevitを導入し、一緒に社内研修を受ける体制を敷いている。先行して進めている5社に加え、意匠・構造それぞれ30社と協力関係を構築しているとした。フジタや大和リースといったグループ企業については、ロードマップは各社で異なるものの、BIMの規格は統一して運用しているという。
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