MRのヘッドマウントディスプレイには、眼鏡タイプのウェアラブル端末「Microsoft HoloLens」を使用。地上・地下の統合データはインフォマティクス社のMRソリューション「GyroEye Holo」でファイル変換して、HoloLensに取り込む。
作業者は現場でHoloLensを装着し、図面内の測量基準点にマーカーを設定。現地の基準点にもAR上でマーカーを置くことで、CIMモデルと現実の座標が合わさり、現実の道路上にCIMモデルの地下構成物が立体的に浮き上がった形で見ることができるようになる。
MR技術の効果としては、埋設管の破損事故を防ぐ他に、今後事前調査の試掘が省略されれば、工期短縮につながるという。また、設計モデルを3次元上に合わせて表示することで、管路などの干渉が事前に分かり、手戻りを減らすメリットももたらされた。
今回の適用工事ではICT土工として発注されたため、他にコマツ製のセミコントロール建機「インテリジェントマシンコントロールバックホウ」による施工管理データを搭載したトータルステーション(TS)を採用した“情報化施工”も導入した。
コマツのICT建機は、日々の施工進捗管理が可能なステレオカメラ、車体の姿勢角を正確に検出するセンサー、マルチGNSSアンテナ、少ない操作でオペレーションできるコントロールボックスなど、多様なICT機能を装備。GNSSアンテナと基準局から得た刃先の位置情報と、施工設計データで、建機操作のセミオート化を実現したマシンコントロール油圧ショベル。
バケットの刃先が設計面に到達すると作業機が自動的に停止。微修正をせずとも、アシスト機能でバケットが設計面に沿って動くため、オペレータは掘り過ぎを気にせずに掘削でき、作業効率の向上や精度の高い施工が可能になる。
山田氏は今回の工事を振り返り、「2つのICT技術により、工事全体で約3割の工期短縮、作業員1人の省力化につながった。MR技術は、HoloLensを装着すれば誰でも現場で立体像を見ることができるという利点がある。無電柱化工事で歩道上に地上設備機器を新設する場合、景観舗装工事で完成イメージをつかんでもらう際には、工事完了後の状態をMRで周辺住民に確認してもらうことで、合意形成を図ることにも役立てられる。当社では、CIMの本格的な活用は2020年ごろを目指しているが、今後、CIMとMRの技術は同種の無電柱化工事には順次適用していくつもりだ」と語った。
また、大成ロテックでは最新の技術開発として、アスファルトの品質管理システムも実際の工事への適用を検討している。
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