大成ロテックは、CIM(Construction Information Modeling)と、MR(複合現実)技術を組み合わせ、道路埋設物を現場で可視化する新技術を開発し、和歌山市内の電線共同溝工事に初適用した。この技術により、通常は見ることのできない、地中の構成物を着工前に確認することで、工事中に起きやすい埋設管の破損事故などが防げる。
大成ロテックは、埋設管の破損事故などを防ぐ目的で、CIMとMR技術を用いて道路地下の構成物を“可視化”するICT土工技術を開発した。技術部 技術推進室長・山田敏広氏、同室係長・寺崎真理氏に、CIM×MR技術の開発経緯や最新のICT土工技術などを聞いた。
新技術を導入したのは、国土交通省 近畿地方整備局発注の「国道42号秋葉街管路敷設他工事」。工事延長185m(メートル)を対象に、2017年9月1日〜2019年2月28日の工期で電線の地中化を行った。
無電柱化工事では一般的に、車道部で地中0.9〜1.5mの深さに電線管を通す必要があり、工事着手前に既設埋設物を把握するため“試掘”を行っている。しかし試掘をしても、施設管理者から提供される図面台帳が現実の地下状況と異なっていたり、暗黙の了解で管を引き入れてしまう“サービス給水”などの存在により、図面と現実の地下状況が異なっていることが少なからずあり、工事中に上下水道管やガス管を損傷してしまうことがある。そこで、「損傷事故防止を目的に、既設埋設物の正確な位置をCIMとウェアラブル端末で把握できないかと思った」(山田氏)。
大成ロテックの地下埋設物を可視化する技術は、国土交通省「新技術情報提供システム(NETIS)」に埋設管マッピングシステムが登録されるなど地下調査で豊富な実績のあるジオ・サーチの技術を活用して開発。地上部分は固定型のレーザースキャナーで点群データを取得し、地下はジオ・サーチの手押し型アンテナレーダーで深さ1.5mまでを探査した。
手押し型アンテナレーダーは、探査幅0.8m、探査深度1.5m程度で、人が手で押して5km/hの速度で最大1000m2程度をスキャンする。計測は、地下を見られるマンホールなど実際の埋設管の位置を確認しつつ行う。
取得したデータをベースに、地中の既設管・設計管を「Autodesk Civil 3D」でCIMモデル化し、地上の点群データと組み合わせることで、地上・地下の状態が3次元化され、一目で把握できるようになる。
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