電通イージス・ネットワークが年2回発表している「世界の広告費成長率予測」によると、2018年の成長率は3.9%に上方修正され、総広告費は過去最高となる6135億ドルに達する見込み。成長著しいデジタル広告がけん引する格好で、そのシェア率も38.4%が見込まれ、初めてテレビ広告を抜く予測となっている。
電通の海外本社である電通イージス・ネットワークは2018年6月14日、世界59カ国・地域から収集したデータをもとに、2017年の確定実績、2018年の改定予測、2019年の新規予測を取りまとめた「世界の広告費成長率予測」を発表した。
これによると、2018年の成長率は3.9%を見込み、世界の総広告費は6135億ドルの過去最高に達する。翌2019年も、世界的にデジタル広告がけん引することで、3.8%と堅調な成長の見通し。結果、リーマン・ショックの影響を受けた2009年以来、10年連続のプラス成長が予測されている。2017年の確定実績は、成長率3.3%の5905億ドルだった。
2018年の成長率が前回の3.6%から上方修正された背景については、主要広告市場の安定した成長とデジタル広告の躍進が挙げられている。これに加え、2018年平昌冬季五輪、2018FIFAワールドカップ・ロシア大会、米国の中間選挙などの大型イベントによる貢献が期待されている。
エリア別に見ると、マーケット規模が世界1位と2位の米国と中国をはじめ、西ヨーロッパの英国やフランス、東ヨーロッパのロシアなども堅調で、ラテンアメリカを除く全地域が上方修正となった。
好調が続くデジタル広告の成長率は、2018年が12.6%、2019年が11.3%と2桁成長が持続する。総広告費の全体に占めるシェア率も2018年には38.4%(2306億ドル)に達し、初めてテレビ広告の35.5%(2132億ドル)を上回ると推察される。2019年には40%を超える見通し。また2018年には、調査対象の59カ国・地域のうち、21カ国・地域でデジタルが媒体別のトップになると推測されている。
デジタル広告の内訳を見ると、けん引役となっているのは「オンライン動画広告」「ソーシャルメディア広告」の2メディア。2018年の成長率はそれぞれ24.6%、21.6%と他媒体を寄せ付けない勢いである。デバイス別のシェア率では、2017年にモバイルがデスクトップPCを追い抜き、50.3%を獲得。2018年には52.2%予測と、今後もモバイルがシェアを拡大していく見込み。
他の媒体の成長率は、「屋外/交通」は2018年2.2%、2019年2.1%。「映画館(シネアド)」は2018年5.9%、2019年5.2%。4媒体は、「テレビ」が2018年1.2%、2019年1.1%で、「ラジオ」が2018年2.0%、2019年1.2%と、ともに若干のプラス。一方で「新聞」は2018年−7.5%、2019年−7.4%、「雑誌」は2018年−6.5%、2019年−6.4%と減少傾向が続く。
なお、世界3位の日本は、緩やかで安定的な経済成長に伴い、2018年の成長率は1.5%と予測されている。
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