ダイダンと電通国際情報サービス(ISID)は、ビルの空調制御をIoT(モノのインターネット)活用によって完全クラウド化するシステムを開発し、実証実験を開始すると発表した。課題抽出と機能拡充を図り、2019年度中の商用化を目指す。
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ダイダンと電通国際情報サービス(ISID)は2017年12月19日、ビルの空調制御をIoT(モノのインターネット)活用によって完全クラウド化するシステムを開発し、実証実験を開始すると発表した。本システムでは、ビル制御に利用されるソフトウェアのみならず、ハードウェアの機能もクラウド上に実装したことが特長だ。
今回の取り組みは、2017年5月に発表した「IoTを活用したスマートビル制御システムの実証実験」をさらに発展させたもの(関連記事)。この時のシステムでは、ビルに設置された環境センサーやLED照明、ファンといった各種機器と物理PLC(プログラマブルロジックコントローラー)間の通信をWi-Fiによって無線化し、PLCをクラウドに接続することで、配線施工の省力化やクラウド上でビル利用状況の分析や照明・空調制御が可能になった。
クラウドには、ISIDが提供するBaaS(Backend as a Service)サービスである「FACERE(ファケレ)」を活用し、前システムでも物理的にビルへ設置する必要があったPLCや自動制御盤といったハードウェアも、本システムではその機能をFACERE上で仮想的に実装した。FACEREは、Googleが提供する「Google Cloud Platform」上で展開されており、ビルシステムなどのミッションクリティカルな業務用途でも高い可用性を確保している。
これによって、物理PLCがクラウドに接続することのメリットはそのままに、1つの仮想PLCで複数ビルの一括制御や、現地作業不要での機能アップデート、他のインターネットサービスと連動したサービス提供が追加で可能になった。他のインターネットサービス連動の例として、予定管理などを行うグループウェアと同期した空調の自動動作といったことも考えられるという。
本システムを採用することにより、ビル内機器の無線接続化など機器導入コストが発生するが、PLCや自動制御盤、配線作業の省略化が実現するため、有線接続での空調制御システムとイニシャルコストを比較すると5%程度削減できるとした。また、ビルのライフサイクルコストで比較を行うと、約2〜3割の空調コスト低減が可能だと試算する。
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