日本設計とオートデスクは、BIMデータをFM領域で活用する手法を開発したと発表した。既に普及しているさまざまなFMシステムとの連携を行いやすくることに主眼を置いた手法で、オートデスクのWebサービスAPIプラットフォーム「Autodesk Forge」を活用したのが特徴だ。「現実的かつ実践的な手法」(日本設計)として、実案件への適用を目指す。
設計や施工領域を中心に活用が進みはじめているBIM(Building Infortmation Modeling)。今後ポイントとなるのが、BIMデータをいかにファシリティマネジメント(FM)領域で活用していくかという点だろう。具体的な手法や、施主側へのメリットを確立していく必要がある。
2014年9月から次世代BIMの構築に向け提携している日本設計とオートデスクは、新たにBIMデータをFM領域で活用する手法を開発したと発表した。既に普及しているさまざまなFMシステムとの連携を行いやすくることに主眼を置いた手法で、「現実的かつ実践的な手法」(日本設計)という。
日本設計は基幹BIMにオートデスクのRevitを活用している。一般に、こうしたBIMソフトで作成したデータをFM領域で活用するためには、新たに連携機能を持つFMシステムを導入する必要があった。しかし、既に現実にはさまざまなFMシステムが利用されている。BIMデータを活用するために、新たにFMシステムを入れ替えを行うのは現実的とはいえない。
日本設計 環境・設備設計群 3Dデジタルソリューション室 主管の吉原和正氏は「BIMのFM領域への活用は、具体的かつ実践的な手法に落とし込むのが難しいというのが大きな障壁だ」と述べる。
そこで日本設計とオートデスクは、BIMデータとFMシステムの間をつなぐプラットフォームを構築するという手法を考案。オートデスクが提供するクラウドサービス型のプラットフォーム「Autodesk Forge」(以下、Forge)を導入した。Forgeはオートデスクの提供するクラウドサービスや開発ツールと、他のソフトウェアと連携できるAPIを提供するのが特徴のシステムである。
APIとはアプリケーションプログラムインターフェイスの略称だ。簡単にいえば、あるソフトウェアを一部公開し、他のソフトウェアと機能を共有できるようにする窓口のようなものである。つまりAPIを利用することで、Forge上にオートデスクが提供するさまざまなサービス/開発ツールと、FMシステムを連携させることができる。日本設計はオートデスクがForge上で提供しているアクセス認証機能、50種類以上のデータ形式に対応した変換機能、ビュワー機能などとFMシステムを連携させた。
これによりForge上に保存されたBIMデータに対し、FMシステム側からアクセスや閲覧が行えるようになった。そしてこれらの作業は、全てWebブラウザ上から行えるというのも特徴だ。こうした環境を整えることで、API連携を行えば、さまざまなFMシステムからBIMデータを参照できるようになる。BIMに合わせて新しいFMシステムを導入するのではなく、ForgeをBIMとFMをつなぐプラットフォームとして利用することで、既存のFMシステムを生かしながらBIMデータを活用できるようにするという考え方だ。
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