測量作業で活用が進むドローン、その今を見てきた:Japan Drone 2017(2/2 ページ)
日立システムズは、ドローンなどで撮影した画像を用いて、ひび割れや錆(さび)などを検知するサービスを参考出展した。同サービスは過去にドローンで撮影した画像と比較することで、劣化の進行度を自動で判断。ドローンのGPS情報を基に、3Dモデル上に建造物を表示する。人手と目視に頼っていた点検を効率化することが狙いにある。
劣化診断サービスのイメージ (クリックで拡大)
同社の担当者によると、劣化診断サービスは海外で既に提供している企業は存在するが、決まった箇所のみの診断が一般的であり、建造物全体を照らし合わせることができるのは他にないという。参考出展したサービスは、同社が提供する「ドローン運用統合管理サービス」内において、2017年10月から提供が開始される予定だ。
西武建設と芝浦工業大学 伊代田/長谷川研究室は、人手の届かないコンクリート構造物に必要な水や補修材を散布するドローンを展示した。試作機では、2リットルのタンクで水や補修材料を蓄え、4本のノズルを使って散布する。芝浦工業大学のリリースによると、実験では、1m2平均18.3秒で吹き付け可能なことを確認したという。
展示されていた補修材吹き付け用のドローン (クリックで拡大)
吹き付けするときのイメージ 出典:芝浦工業大学
これまでの補修作業は、高所で人手による作業だったため、危険な上に大掛かりな準備が必要だった。補修ドローンを導入することにより、補修作業を遠隔操作で行うことが可能になる。現在は搭載する距離センサーから得た情報を基に、吹き付けの位置を手動で調整しているため、人力と比較してムラが生じやすく補修材を無駄に消費する。今後、距離センサーの情報と吹き付けを自動的に連動させることで、均一化を目指していく。西武建設の担当者によると、実用化は2020年頃を目指すとした。
- ドローン測量の課題をクリア、座標を自動取得する対空標識
建設現場でドローンを使った3D測量が広がっている。効率よく測量が行えるメリットがあるが、現場の課題となっているのが対空標識の設置と測量に手間と時間がかかる点だ。テラドローンはこうした課題を解決するGPS内蔵の対空標識の販売を開始した。自動で位置情報を取得でき、置くだけでTS測量を省くことができる。価格も数万円と安価に設定した。
- 標定点の設置を不要に、ドローン測量をさらに効率化
「i-Construction」などの進展とともに建設現場での測量に活用されはじめているドローン。光学機器メーカーのトプコンはドローンを活用した空中写真測量を、標定点を設置せずに行えるシステムを開発した。標定点の設置が不要になることで、作業効率の向上に貢献できるという。
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さまざまな測量シーンでの活用が進み始めているドローン。鹿島建設は大分県のダム建設現場でドローンを用いたレーザー測量を実施し、良好な測量結果を得たと発表した。これまでの写真測量より高精度なデータを得られたとしており、より高度な使用方法も探っていく。
- VRで重機を遠隔操作、大成建設が新システム
大成建設はヘッドマウントディスプレイ(HMD)を用いて、遠隔地から実際に搭乗している感覚で重機を操縦できるシステムを開発した。災害現場などの二次災害の危険がある場所での作業などに活用できるという。
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