日本UAS産業振興協議会(JUIDA)が主催した「Japan Drone 2017」(2017年3月23〜25日/東京ビッグサイト)では、無人航空機(ドローン)を活用した測量技術、サービスが展示された。
国土交通省が「i-Construction」を推進するに伴い、土木工事における測量作業で無人航空機(ドローン)の活用が進んでいる。従来の方法では、測量から設計、施工計画などに多くの時間と人員がかかってしまう。ドローンを測量に用いることで、短時間で3次元化された地形データを取得することが可能になるからだ。
日本UAS産業振興協議会(JUIDA)が主催した「Japan Drone 2017」(2017年3月23〜25日/東京ビッグサイト)では、ドローンを活用した測量に関連する技術、サービスが展示されていた。本記事では、展示されていた内容の一部を紹介する。
ドローン測量事業を展開するテラドローンは、2017年2月に発表したGPS(全地球測位システム)モジュール内蔵の対空標識「AeroPoint」を展示した。対空標識とは、撮影した空中写真と地上との関係を明らかにするため、撮影の前に座標値を測定の上、空中写真に写るように設置する標識のことを指す。
担当者によると、ドローンによる測量は工事現場の地形を3次元(3D)モデル化することが容易だが、ドローンで撮影した空中写真と実際の地形との関係を明らかにするため、多くの対空標識を設置して座標値を算出する必要がある。これらの作業で、担当者は「半日ほどを要する」と語る。
AeroPointはGPSモジュールを内蔵しており、標識を設置するだけで位置座標を自動的に取得することが可能になる。相対精度は1cm以下、絶対精度は2cm以下を実現。完全防水で、太陽電池モジュールによる発電に対応するという。
展示では、ドローンの自動運行管理システム「UTM(UAV Traffic Management)」の紹介も行われていた。UTMとは、電波を活用してリアルタイムにドローンの位置情報を把握し、衝突防止など安全な飛行を支援するシステムである。自動での飛行ルート作成、飛行禁止区域の設定などが可能。テラドローンは、UTMの提供を進めているベルギーのUniflyと2016年11月に資本提携を行い、共同で開発を行っているという。
2017年3月24日には、LTEネットワークに対応したUTM「4G LTE運行管理システム」の開発が完了したことをKDDIと発表した。AeroPointやUTMを通じて、「ドローンを活用する事業者全てが使えるプラットフォームを提供したい」(担当者)と語った。
産業用ドローンメーカーのエンルートは、レーザースキャナー搭載型ドローンによる測量サービスを展示した。写真測量の場合、山に樹木がある状態で地表が見えない場合や、日照・影などの天候条件により使用場面が限定されるといった課題がある。
そこで、ドローンによる測量サービスを展開するAce-1(エース・ワン)と共同で、レーザースキャナー搭載型ドローンの開発を始めた。レーザースキャナーを用いることで、樹木が密集している環境や夜間での計測を可能になるからだ。ドローン先進国であるフランスYellowScanのレーザースキャナー「Surveyor」を導入。エンルートの産業用ヘキサコプター「CH940」をカスタマイズし、専用モデルを開発したという。
専用モデルは、6枚プロペラでモータ軸間が940mm、全高約500mmである。レーザースキャナーとGPSアンテナ部分(約2kg)を含めた全重量は、約9kgとなっている。飛行可能時間は約15分だ。360度計測できるレーザーの特長を生かすため、フレームの最細部にレーザー装置を設置。約270度計測でき、構造物の側面や裏側の計測も可能とする。
Ace-1の担当者は「通常レンジは50mと他よりも低いが、エンルートの自動航行システム『MissionPlanner』により、地形に沿った高精度な飛行ができる」と語る。
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