三井住友建設はSLAM技術を利用した設備スリーブ管理システムを開発した。従来人手で行っていた設備スリーブの取り付け位置の確認作業に活用できるシステムで、従来の計測手法では1時間以上かかっていた作業を、従来と同等の精度で1〜2分程度に短縮できるという。
三井住友建設は建物のコンクリート躯体に設ける設備配管用の貫通孔(設備スリーブ)の取り付け位置確認作業を効率化する新システムを開発した。自己位置の推定と周辺のマッピングを同時に行うSLAM技術を利用したシステムを九州大学と共同で開発したもので、室内実験では従来の人手による作業と同等の精度でありながら、大幅に作業時間を短縮できることを確認したという。
設備スリーブは水・ガス・空気・電気などの用途別に設ける。その取り付け位置の精度は躯体工事後に行う設備工事に影響するため、これまではコンクリート打設前に関係者立会いのもと、人手で全数検査を行っていた。
そこで三井住友建設と九州大学は、自己位置推定と環境地図作成を同時に行うSLAM技術を活用した検査システムを考案した。設備スリーブ端部にマーカーを貼り付け、PCとカメラを組み合わせた装置を用い、動画を撮るように全体を測定する。リアルタイムにマーカーセンターの座標を取得し、事前にPCに入力した設計上の取り付け位置との誤差を瞬時に計算することで、効率良く作業が進められる仕組みだ。
室内における実験では、地中梁の設備スリーブ取り付け位置検査を想定し、計測を行った。その結果、従来の計測手法では1時間以上かかっていた作業が、新システムでは測定から結果が得られるまでが1〜2分程度で済み、さらに従来と同等の精度であることを確認できたとしている。
開発したシステムは現在実証段階で、今後実際の現場で実証を行い、実用化に向けた開発を進めていく方針だ。なお、このシステムは設備スリーブを対象として開発を進めているが、橋梁の外ケーブル取り付け位置管理など、土木や建築分野のさまざまな部材の取り付け精度管理にも適用可能としている。
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