ダイキン工業とNTT西日本は広域無線通信の1つである「LPWA」と空調機を接続する実証試験に着手する。空調機と常時接続を行うことで、稼働状態や屋内外の空間情報をリアルタイム監視を行えるようにする。技術検証を進め、IoTを活用した将来の新サービスの創出につなげたい考えだ。
ダイキン工業とNTT西日本は2016年11月15日、IoT(Internet of Things)を活用した空調新たな価値づくりを目指し、空調機を「LPWA(Low Power Wide Area)」に接続するフィールドトライアルを実施すると発表した。
ダイキン工業は、1993年から業務用空調機のオンライン遠隔監視システムを開発し、エネルギーマネジメントや故障予知につなげる保守サービスシステムを開発するなど、空調へのIoT活用に取り組んでいる。NTT西日本は、2016年6月からLPWAネットワークを活用したフィールドトライアルを開始ており、幅広い分野のパートナーとの協業を通じLPWAの活用を推進している。
LPWAは、IoT/M2M(Machine to Machine)に適した省電力・長距離通信を実現する省電力広域無線通信。低コストで広範囲をカバーできるネットワークサービスのため、機械の運転状況など容量の少ないデータの通信に適している。
両社が実施するトライアルでは、ダイキン工業の技術開発コア拠点である「テクノロジー・イノベーションセンター」(大阪府摂津市)をはじめ、西日本エリアに設置されている同社の空調機をNTT西日本のLPWAに接続。それぞれの空調機の稼働状態、および屋内外の空間情報を常時監視する。また、トライアルを通じて、LPWAによる空調機故障情報、および、屋内外のセンサー情報の収集手法を確立する(図1)。
両社はトライアルを通じて得られたLPWAへの空調機の接続に関するノウハウを基に、空調機の保守サービスの高度化および、屋内外の空気・空間のセンシング情報を用いたサービスの開発などの価値づくりを目指す。
現在の空調機の遠隔監視システムでは、空調機を電話回線に接続し、1日1回あるいは故障が発生した時のみ監視センターと通信している。LPWAを活用することにより、すべての空調機と遠隔監視センターを安価に常時接続することが可能となり、故障機器の特定や故障内容の診断、突発故障時の対応にかかる時間の短縮など、保守サービスの向上が期待できる。
空調機は、室内機と室外機で構成されており、それぞれが運転制御のために屋内外のセンシング情報を取得している。LPWAを活用して空調機をネットワークに常時接続することで、空調機がセンシングした屋内外の空気の温度や湿度、風の強さ、清浄度などのさまざまな情報を柔軟に活用した新たなサービスの創出に取り組む。さらに屋内外の空気環境の正確なリアルタイム情報・予報サービスなど独自サービスの開発だけでなく、これらの情報をオープンに取り引きするなど、新しい共創型ビジネスにもつなげていきたい考えだ。
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