ビル内のエネルギー源としてあまり注目されてこなかった水。帝国ホテル東京は空調用の循環水に着目し、ビル内の小水力発電実現に向けて動いた。
ビル内には「未利用のエネルギー源」があるはずだ、節電だけではなく、発電も可能なのではないか――このように考えた帝国ホテル東京は、ビル内の水、空調用循環水の流れに着目した。
帝国ホテルタワー内の5階で利用した空調機用の水は地下4階の冷水蓄熱槽まで35mを垂直に流れ落ちる。蓄熱槽から5階まではポンプを使って水をくみ上げているが、流れ落ちる水にはこれまで関心が払われていなかった。
同社は、新日本空調に小水力発電用の発電機、制御盤、制御装置など機器一式の設計と、施工を依頼。出力3kWの小水力発電が実現した。年間1万5000kWhの発電を見込む(図1)。空調設備は24時間365日稼働しているため、安定した電力源として利用できる。系統とも連系しており、さまざまな用途に使えるという。
電気料金換算で年間24万円、CO2排出量削減約5.6トンという数字は一見小さく見えるが、LED照明への置き換えなどさまざまな省エネ策と組み合わせることで、ビルの消費エネルギー引き下げに役立つ。
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