熊谷組は、大規模土工事現場で次世代AI仮想信号式制御システムを活用し、アーティキュレートダンプトラック2台の自動走行による土砂運搬を実現した。遠隔操作のバックホウ1台を含む計3台を作業員1人で操作、運用し、土砂の積み込みから運搬までを実施した。
熊谷組は2026年10月21日、大規模土工事現場で次世代AI仮想信号式制御システムを活用し、アーティキュレートダンプトラック(ADT)2台の自動走行による土砂運搬を実現したと発表した。ダム現場で遠隔操作のバックホウ1台を含む計3台を作業員1人で操作、運用し、土砂の積み込みから運搬までを実施した。
熊谷組が開発するADTの自動走行技術は、仮想レール方式による経路決定を基本技術として使用している。事前にオペレーターが教示運転を行い、実際に走行した経路と速度を目に見えない「仮想レール」として自動走行に反映する仕組みだ。教示時に人の判断を介在させることで、変化する現場環境に応じた柔軟かつ迅速な運用を可能にする。
複数台の自動走行車両を稼働させる際に必要な仮想信号式車両運行管理システムは、事前に作成した走行経路上に仮想的な信号や標識などの交通情報を組み込むことで、特定の地点で車両に走行や停止を指示する。各車両が交通管理サーバに問い合わせ、走行の可否や速度制御を車両自身で判断する仕組みだ。
複数台の自動走行車両を運用するには、車両同士の接触や膠着状態を避けるため、互いの位置や周囲の状況を把握して協調動作することが重要となる。熊谷組は重機の運行情報を一元管理することで、接触災害の防止や効率的な稼働につなげる。
今回、ダム現場の土砂運搬作業で、自動走行式ADT2台の運行管理を実施した。遠隔操作するバックホウ1台と組み合わせ、計3台による土砂の積み込みから運搬までの一連の作業を作業員1人で操作、運用することに成功した。
ADTは軟弱地盤や起伏のある地形でも高い走破性を発揮し、複雑で長距離の運搬経路にも対応できる。車体が屈曲する中折れ式の旋回機構により、狭い場所での作業も可能だ。一方、複雑な車両挙動への対応には熟練した操作技術が必要となるため、自動走行による省力化の効果が大きい。ADTによる複数台の自動走行を運用できれば、狭いトンネル現場や大規模なダム現場、軟弱地盤が課題となる災害復旧現場などへの適用が期待できる。災害復旧現場では、無人化施工による二次災害の防止にも寄与するとしている。
今後は運行管理の対象を多数の重機に拡大し、施工現場全体の一元管理と運用を目指す。また、走行中の挙動をマルチモーダルに学習し、走行経路上の環境変化に柔軟に対応して車両を制御するフィジカルAIを取り入れることで、1人当たりの生産性向上を図る。
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