日立製作所は、3Dデジタルツイン上の操作ログから熟練者の実践知を抽出し、知見継承を支援する手法を開発した。
日立製作所は2026年9月17日、社会インフラや産業設備の保守、点検現場での熟練者不足に対応するため、3Dデジタルツイン上の操作ログから熟練者の実践知を抽出し、知見継承を支援する手法を開発したと発表した。設備を再現した3Dデジタルツイン上で実際に熟練者が行った操作ログを記録/解析し、支援情報として提示する。
新手法では、現実の設備の形状や構造、状態などを再現した3Dデジタルツイン上で、熟練者のカメラ移動操作、部品の表示/非表示や分解、関連文書の閲覧、検索といった操作を行動ログとして記録/解析する。熟練者が有用と判断した時点について、設備を見ていた視点、表示していた部品、参照していた文書をひも付け、文書と3D画面として抽出する。
3D画面では視点だけでなく、どの部品を分解/非表示にして確認したかも特定する。そのため、経験の浅い作業者は「何を見るか」に加え、「どのように確認するか」まで把握できるという。
経験の浅い作業者が困りごとを選択すると、抽出した文書や3D画面を支援情報として一覧表示する。さらに、熟練者が実際に確認していた場面を3Dデジタルツイン上で再現する。必要な部品の分解や表示/非表示も自動で反映するため、対象箇所や参照文書に素早く到達できる。
日立製作所は鉄道車両の保守/点検の一部作業を模擬し、熟練者の知見を提示する場合と提示しない場合で検証した。その結果、経験の浅い作業者が必要な情報に到達するまでの時間を中央値で60%削減した。熟練者に近い水準で情報を確認できる可能性も示したという。
検証に参加した経験の浅い作業者からは、熟練者の視点にはマニュアルだけでは分かりにくい「つまずきやすい点」や「確認のコツ」が含まれており、安心して作業を進めやすいとの意見が得られた。
日立製作所はこれまで、エネルギーや交通分野の建設/製造/保全現場を対象に、現場内外の関係者による情報共有や合意形成を促進し、現場業務を迅速に進める「現場拡張メタバース技術」の開発に取り組んできた。設備や機器の配置と構造を3Dで把握しやすくするとともに、情報をメタバース空間に集約することで、必要な情報を直感的に探索しやすくした。
今後は、3Dデジタルツインを活用した手法の検証を進める。保守/点検現場での熟練者不足への対応に加え、教育や知見継承を支援し、「Lumada 3.0」を実現する技術の1つとして現場業務の革新に貢献していくとしている。
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