スパイダープラスは高砂熱学工業と共同で、建設分野の「モノ=資機材」領域の新サービスとして、建設現場の資機材情報管理システム「S+Trace」を開発した。ハードウェアのRFIDとソフトウェアを組み合わせたモノのデジタル管理で、誤発注や紛失に伴うモノ探しの無駄をなくす。高砂熱学工業の現場では、現場管理者の業務時間を「1日平均24分」、全社で年3.2万時間を削減した実績があるという。
スパイダープラスは2026年3月5日、建設現場の資機材情報管理システム「S+Trace(エスプラストレース)」の提供を開始した。設備工事大手の高砂熱学工業が、資機材情報管理の豊富な運用実績をもとに監修を手掛けた。ハードウェア(RFIDリーダー)とソフトウェアを組み合わせ、現場の資機材などの「モノ」の動きを可視化し、管理業務の劇的な効率化とトレーサビリティーを実現する。
建設現場では、数万点に及ぶ膨大な資機材が搬入され、アナログな管理や「経験と勘」が必要な発注業務の影響で、資機材の「所在不明」や「手配漏れ」が常態化し、工程遅延や二重発注によるコスト増を招いていた。
建設現場の労務や稼働率といった「ヒト」を管理するツールが多く存在する一方、S+Traceは建設現場の中で減ることのないモノの管理での生産性向上を目的に開発した。
S+TraceはRFID(電子タグ)技術を活用した建設現場の資機材搬入から、配置、進捗までを一気通貫で可視化する資機材情報管理プラットフォーム。これまで「経験と勘」に頼っていた現場の資機材管理で、RFIDによる個体識別により、類似資材の取り違えや誤配、紛失を未然に防止。確実なモノの追跡を確保し、紛失リスクの軽減は二重手配による原価流出の防止にも寄与する。他にも、発注業務の効率化や発注ミスの防止、手戻りに起因する工期遅延も最小化する。
既に高砂熱学工業の施工DXを象徴する「T-Baseプロジェクト」の施工現場で磨き上げられてきたという。その成果として単なる理論値ではなく、計3万時間を超える全社的な運用実績に基づく圧倒的な削減効果が証明された。
具体的には、現場管理者が日々費やしている「資機材の捜索」や「搬入状況の確認」といった周辺業務をデジタル化し、管理者1人あたり1日平均24分の作業時間を削減。その結果、管理者は本来注力すべき安全や品質の管理業務に集中できるようになった。
高砂熱学工業の運用物件全体では、年間で計3万2716時間の時間を短縮し、その分の余力を創出。フルタイム労働者の業務時間に換算すると、約13人分の年間労働時間に相当し、中〜大規模現場の標準的な配置人数(13人体制)1現場分を、追加の人員採用なしにまるごと賄える計算となる。資機材情報管理に消えていた工数を集約することで、会社全体で「既存の人員体制のまま、もう一つの大規模プロジェクトを完結させられる」ほどの劇的なリソースの最適化につながる。
スパイダープラスでは今後、S+Traceを業界全体の「共通資産」へと昇華させ、アナログな資機材情報管理の慣習を根底から変革し、「モノを探さない/手配を間違えない」ことが当たり前となる新しい建設現場のスタンダードとなることを目指す。ゼネコン、サブコン、サプライヤー間で資機材の流通データを共有し、業界全体の物流効率化と、カーボンニュートラルに資する資材のトレーサビリティー確保の実現も見据える。
従来の施工管理アプリ「SPIDER+」から、現場で不可欠なインフラへと進化させるSPIDER+ Workspace構想では、S+Traceが新たに加わることで、「ヒト(安全/労務)」「コト(図面/写真)」「モノ(資機材)」の情報をデジタルで統合し、現場のあらゆる意思決定がデータに基づき行える環境の整備を目標に掲げる。
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