東京都板橋区のトプコン本社敷地内にある2号館のリノベーションが完了した。1930年代に誕生した2号館は、「コンクリート博士」と称される建築家の阿部美樹志氏が設計を手掛けたRC建築の先進性を象徴する建物。今回のリノベでは、当初の設計思想を受け継ぎつつ、現代にも通じる共通の価値観を体現するワークプレースへと再生した。
東京都板橋区のトプコン本社敷地内にある2号館の耐震改修と増築工事が、2026年2月5日に完了した。
2号館は1935年に南棟、1937年に北棟が竣工した鉄筋コンクリート造の建物で、戦前から続くトプコングループのものづくりの原点を象徴する施設。今回のリノベーションでは、建物が持つ歴史的価値を尊重しながら、現代のワークプレースに求められる安全性や機能性を備えた空間へと再生した。開放感と人の交流を育む設計により、技術と人材を育てる未来志向の拠点として新たな役割を担う。
トプコンは1932年、服部時計店精工舎の測量機部門を母体に東京光学機械として創業した。1930年代に誕生した2号館は、昭和初期の鉄筋コンクリート建築の先進性を象徴する建物。設計を担ったのは、「コンクリート博士」と称される建築家の阿部美樹志氏。鉄筋コンクリート工学の第一人者として知られる阿部氏は、米イリノイ大学やドイツハノーバー工科大学で学び、阪急百貨店、日比谷映画劇場など、日本の近代建築史に名を残す数々の建築を手掛けた。
阿部氏による当初の設計は、柱を最小限に抑えた大空間や光を取り込む大開口部など、開放性を重視した大胆な意匠が特長だ。
2号館は当時の本社工場の生産/開発の中核施設として計画され、多くの従業員が働くものづくりの作業環境にふさわしい空間設計が採用された。
しかし、長い年月の中で実用性が優先された時期には、外壁に配管が露出したり、中庭に設備が増築されたり、当初の設計思想が損なわれていた。
そこで耐震改修では、配管や仮設物を丁寧に撤去し、耐震補強を目立たない形で施すことで、竣工当時に重視されていた風通しの良さや人が行き交い対話する抜けの良い空間、開放的な建築の表情を取り戻した。当初の設計思想を受け継ぎつつ、現代にも通じる共通の価値観を体現するワークプレースに再生した。
創業期より板橋に拠点を置くトプコンは、90年以上にわたり地域とともに歩んできた。帰宅困難者対策に基づく災害備蓄の整備や食品寄付など、平時から地域と連携する他、2017年には志村警察署と「大規模災害時における施設等の提供に関する協定」を締結し、庁舎が使用不能となった際は施設を代替として提供する。
こうした取り組みを通じ、トプコンは創業の地の板橋で育まれてきた精神と歴史を未来へとつなぎながら、モノづくりの原点を大切にしつつ、再生した2号館を次世代の技術開発を支える場として発展させるとしている。
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