ブルーイノベーションは、八潮市道路陥没事故から1年が経過し、全国で下水道管路の特別重点調査が進む中、栃木県野木町で屋内点検用ドローン「ELIOS 3」を用いて調査した。管路約3キロを点検し、人の手による点検と比べ3日間の工期短縮につなった。作業員が管内に入ることなく、地上の安全な場所から操縦することで、酸欠や有毒ガスのリスクを排除し、交通規制時間の削減ももたらされた。
ブルーイノベーションは2026年1月13日、栃木県野木町で元請企業の渡辺建設と連携し、屋内点検用ドローン「ELIOS 3」を活用した下水道管路の調査を実施したと公表した。
調査では国が定める「下水道管路の全国特別重点調査」に基づき、施工から30年以上が経過した管路約3キロを点検し、従来の人力調査では約5日間を要する工程を2日間で完了した。
ELIOS 3は、スイスのFlyabilityが開発した非GNSS環境下の屋内空間などの飛行特性に優れた屋内用ドローンELIOSシリーズの最新機種。3Dマッピング用LiDARセンサーを搭載し、点検や建物情報をリアルタイムで3Dデータ化して位置特定できる。
ブルーイノベーションは2018年に日本での独占販売契約を締結し、ELIOSシリーズを活用した屋内点検ソリューションを提供している。2024年までに日本国内でプラントや発電所、下水道などを中心に300カ所を超える現場で導入実績があるという。
今回の調査は、埼玉県八潮市で発生した道路陥没事故から約1年が経過する中、国土交通省が進める「下水道管路の全国特別重点調査」の基準に基づき、老朽化が進む下水道管路の状態を安全かつ効率的に把握することを目的に実施した。
野木町が管理する下水道は、汚水管が約108キロ、雨水管が約5キロに及ぶ。最も古い区間では施工から50年以上が経過し、老朽化対策が急務となっている。調査を怠り劣化を見逃せば、道路陥没などの重大事故につながる恐れがあるため、野木町ではドローン点検を有効な調査手法の一つとして高く評価している。
人力で管内調査を行う場合、作業量は600メートル/日程度で、対象区間の調査には約5日間を要する。ELIOS 3を用いた調査では2日間で完了し、3日間の工期短縮につながった。
人力作業が不要となったことで、酸欠や有毒ガス、増水などの不確実な作業環境での安全性の向上、1スパン当たりの作業時間短縮による交通規制時間の削減といった効果も確認された。目視では作業者の熟練度で差が生じやすい一方、ELIOS 3による映像データの活用で点検品質の標準化にも寄与した。
野木町 産業建設部 上下水道課の担当者は、「今回の点検では、直ちに大規模な補修を要する深刻な損傷は確認されなかったが、経年による劣化状態や接続部などに変状が見られる箇所の状態を詳細に把握できた。そのため、今後の補修計画や経過観察に役立てられる」と評価した。
ELIOS 3は、暗く狭く、GPSが届かない下水道管路内でも安定して飛行する点が特長。管内をムラなく撮影し、「どこに、どの程度の損傷があるのか」を位置情報付きの3Dデータとして客観的に記録する。
損傷の位置情報だけでなく、管路のゆがみやたるみといった形状の変化も3Dデータで確認可能で、平面映像だけでは把握しにくい変状を発見できる。ブルーイノベーションでは現在、こうした映像や3Dデータを活用し、AIでひび割れなどの変状を自動で検知する取り組みを進めてる。
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