大成建設と三菱電機は、建材一体型受電装置を用いたマイクロ波ワイヤレス給電システム「T-iPower Beam」の実証実験を行い、オフィスに設置した環境センサーへ、離れた場所から安全かつ効率的にワイヤレス給電が行えることを確認した。
大成建設は2025年12月15日、三菱電機と共同で、建材一体型受電装置を用いたマイクロ波ワイヤレス給電システム「T-iPower Beam」の実証実験を行ったと発表した。オフィス空間の天井に設置した受電装置の周囲を電波吸収体で囲むことで、周囲へのマイクロ波拡散を抑制しながら、数ワット級の電力を環境センサーへ非接触で安定的に給電できることを確認した。
実証実験は神奈川県横浜市の大成建設技術センターのZEB実証棟「人と空間のラボ」で、2024年10〜11月に実施。送受電装置は三菱電機が開発した最大出力200ワット級の送電装置と、大成建設の建材一体型受電装置を組み合わせたもの。受電装置は建築仕上材に漏えい電力を抑制する電波吸収体を組み込んでいる。
実証では移動式サービスロボットに搭載した送電装置から、1.8メートル離れた天井に設置した2台の受電装置に向けて送電を実施。受電量と漏えい電力を計測し、実測データと既存シミュレーションを比較し、妥当性を検証した。
実証試験の結果、送電装置から受電装置に最大4ワットの非接触給電が行えることを確認した。1時間当たりの消費電力が180ミリワット程度の環境センサーであれば、約60分間の給電で24時間稼働が可能になる。また、建材一体型受電装置の活用により、周囲への漏えい電力を50%以上低減し、人体や建物への影響を抑制できることが分かった。
漏えい電力の実測値はシミュレーション計算値と±10デジベル以内で一致。シミュレーションを用いて漏えい電力などの電波環境の高精度予測が可能なことを確認した。
大成建設は今後も、三菱電機と連携し、T-iPower Beamの実用化に向けた実証を継続し、マイクロ波による安全かつ高効率なワイヤレス給電技術の確立を図る。
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