ソイルセメント配合割合を現場で測定、約30分で完了 竹中工務店:地盤改良工事
竹中工務店は、建設現場でソイルセメント中の土/セメント/水の配合割合を約30分で測定できる技術「ソイルミエール」を開発した。
竹中工務店は2025年10月15日、土にセメント系固化材と水を混合した改良土「ソイルセメント」の配合割合を、建設現場において約30分で測定できる新技術「ソイルミエール」を開発したと発表した。
採取直後の試料(左)、調整後の試料(右) 出典:竹中工務店プレスリリース
ソイルミエールは、地盤改良などに用いるソイルセメント中の土、セメント、水の配合割合を現場で迅速に測定可能な技術。
測定には、小型/軽量で元素の質量割合を把握できる「ハンドヘルド型蛍光X線分析装置」を使用する。試料にX線を照射して発生する蛍光X線を測定し、カルシウム量を把握することで、セメント含有量を正確に測定できる。測定環境や試料状態に左右されにくい安定した分析結果が得られるという。
また、蛍光X線分析で正確な計測結果を得るためには、乾燥や粉砕などの試料の調整が不可欠となる。持ち運びできる小型装置を組み合わせて使用することで、乾燥/粉砕から分析までの一連の工程を約30分で完結できるようにした。
測定では、まず施工中のソイルセメントから未固結状態の試料を採取し、加熱水分計(200℃)で乾燥させて水分量を計測。その後ミルで粉砕し、加圧成形した粉体試料にX線を照射してカルシウム量を測定する。得られたデータから乾燥土粒子と固化材量を算出し、水分量を加味して配合割合を算定する。
新技術により、ソイルセメントの配合割合が可視化され、品質管理の向上につながる。さらにセメントミルクの注入量や施工仕様の合理的な設定、工程の最適化が可能になる。これにより資材の有効活用や廃棄物の発生抑制など環境負荷の低減も期待される。
脱炭素:カーボンネガティブ仕様の埋戻し地盤材料「SUSMICS-S」を実工事に初適用、清水建設
清水建設は、環境配慮型埋め戻し地盤材「SUSMICS-S」を実工事に初適用した。88立方メートル分を使用し、バイオ炭に固定された約8トンのCO2を地盤内に貯留した。
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清水建設は、セメント系固化材を利用した地盤改良工事で、化学的手法を用いて、施工後における改良地盤の強度を早期に判定する技術「C−QUIC」を開発した。C−QUICは、セメントのアルカリ成分と酸の中和反応を利用して、改良直後に採取した未固結状態のソイルセメントに含まれるセメント量を推定するもので、改良地盤内に適正量の固化材が混入しているかどうかを30分程度で判定できる。C−QUICを活用すれば、改良地盤が固化するのを待たずに施工の良否を確かめられ、地盤改良工事の合理化が図れる。
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戸田建設は、山留め芯材H型鋼のフランジに突起のない継手を用いた山留め工法を開発した。今回採用した継手は、一方の芯材に専用の接合部材を溶接した状態で搬入され、現場ではウェブのみボルト接合を行うことで使える。今後は、建築と土木両分野の作業所で新工法を導入していく見込みだ。
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