三井住友建設は、プレキャストコンクリート部材の製造から現場搬入までの情報の一元管理が可能になるRFタグ埋込型のコンクリート製スペーサを開発し、自社工場に導入した。
三井住友建設は2025年9月25日、プレキャストコンクリート(PCa)部材のトレーサビリティーを向上させるため、RFタグを内部に埋め込んだコンクリート製スペーサを新たに開発し、自社PCa工場に導入したと発表した。PCa部材の製造開始から保管、出荷、現場での受入検査に至るまでの生産情報の一元管理が可能になり、工場と建設現場の生産性向上につながる。
スペーサは、コンクリートを打設する際、鉄筋と型枠との間隔(かぶり厚さ)を確保する部材。新開発のスペーサはPCa部材との親和性が高いコンクリート製で、最大で90ニュートン毎平方ミリメートルまでの強度に対応する。これまでは貼り付け型RFタグや自社開発の樹脂製RFタグ一体型スペーサを活用してきたが、今回の新製品により、現場や工場のニーズに応じたタグ選定の幅が広がった。
新開発のスペーサには、KISCO製のUHF帯域RFタグが埋め込まれており、PCa部材に設置した状態で約1メートルの通信距離を確保する。タグをスペーサ内部に埋め込むことで、コンクリート打設後のはく離や部材保管中/積込時の損傷リスクが低減できる。
三井住友建設は、PCa部材の生産管理情報を一元管理するシステム「PATRAC(Precast Automatic TRACing system)」を開発/運用し、これまでも工場/現場間での情報共有や施工管理の効率化を図ってきた。今後は、新開発のスペーサをPATRACと連携させることで、ICTを活用した生産性向上をさらに推進する。
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