フジタや筑波大ら複数建機が協調する「自動施工」公開 土工プロセスの“一気通貫システム”構築建機自動化(2/3 ページ)

» 2025年09月03日 08時31分 公開

3台の自動建機が協調して模擬施工

模擬施工 模擬施工

 公開実験は、土木研究所と国土技術政策総合研究所が保有する建設DX実験フィールドの模擬土工現場で行った。3台の建機が協調して、掘削→積込→運搬→放土→敷き均しのプロセスで模擬施工した。具体的な手順は以下の2ステップ。

 1.施工計画:監督者が日々の施工計画をCAD上で策定。情報流通インタフェースを通じ、建機の制御システムに伝える(開発担当:九州大学 三谷研/筑波大学)。

 2.複数建機の協調動作:システム側は、情報流通インタフェースを通じて得た日々の施工計画に基づき、複数台建機の協調作業を行う(開発担当:九州大学 倉爪研)。

公開模擬施工の全体図 公開模擬施工の全体図
3台の建機が施工計画どおりに協調作業を行った 3台の建機が施工計画どおりに協調作業を行った

 模擬施工の内容は以下の通り。共通制御信号への対応では、複数台建機の制御制御ソフトウェアを活用した(開発担当:土木研/フジタ)。

 ・日立建機製の油圧ショベルによる土砂の掘削。土の山の形状やダンプ荷台の姿勢は、周辺に配置したLiDARセンサー5基で計測している。どのあたりを掘るべきかの指示をシステムが与え、具体的に「どの部分をどう掘るか」といった詳細の動作計画はバックホウ側で処理して掘削する。

 ・諸岡製のクローラキャリアダンプへの積込み。2台のキャリアダンプはどちらも諸岡製だが、フジタと土木研究所がそれぞれ所有しているもので年代も異なるが、同じ共通制御信号で動かせる。

 ・指定された位置への自動運搬と放土。クローラキャリアダンプ2台が狭い工事用道路で互いに譲り合いながら走行する動作も実演した。

 ・ブルドーザーによる敷き均し。今回の実験では敷き均しのブルドーザーは遠隔操縦で動かしたが、それ以外の掘削から、積込み、運搬、放土は全て自動で行った。

日立建機のバックホウ。GNSS/GPS、ブームの関節部にロータリエンコーダーやIMUを取り付けている(左)、内部には自動化用のPCなどを搭載(右)
掘削から積込までを自動化(左)、土の山の形状やダンプ荷台の姿勢はフィールド内に設置された5基のLiDARで観測(右)
フジタのクローラキャリアダンプ。GNSSとGPS、ポテンショメーター、バケットの傾きがわかるセンサーなどが付いている(左)、土木研所有のクローラキャリアダンプ(右)
運搬後、自動で放土するクローラキャリアダンプ(左)、クローラキャリアダンプ2台が事前に決められた待避路を使って、すれ違う(右)
筆者撮影YouTube動画「内閣府SIP 複数の自動建機の協調制御で一般土工を行うプロトタイプのデモ」

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