豪雨と猛暑の影響を軽減する多機能舗装を開発、神戸市と公道実証 大林組：製品動向

大林組と大林道路は、豪雨と猛暑による影響を軽減する多機能舗装「ハイドロペイブ」を開発。神戸市と共同で、公道に適用する実証試験を実施した。

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　大林組と大林道路は2025年5月28日、豪雨と猛暑の影響を軽減する多機能舗装「ハイドロペイブ」を開発し、神戸市と共同で公道での実証試験を実施したと発表した。

試験施工状況　出典：大林組プレスリリース

　両社は2022年に雨水流出と路面温度上昇の抑制効果を有する舗装「ハイドロペイブライト」を開発している。車道の透水性舗装と歩道の湿潤舗装を組み合わせ、路盤の空隙率を従来より高めることで透水性舗装体内により多くの雨水を貯留し、豪雨時の雨水流出抑制効果を発揮する仕組みだ。ただし、大型車の進入がない軽交通道路での使用に限られていた。

　今回開発したハイドロペイブは、材料や舗装強度を改良し、駅前ロータリーやショッピングモールの駐車場など大型車が進入できる普通道路にも適用できる。

　舗装構造は、透水性舗装がポーラスアスファルト混合物（またはポーラスコンクリート）と砕石、湿潤舗装は保水性ブロックと細目砂と砕石から成る。2つの舗装は地中で導水パイプにより結合している。

　ハイドロペイブ上に降った雨は主に透水性舗装の路面から浸透し、約40％の空隙を持つ路盤内に貯水するとともに地中に浸透。これにより豪雨時の雨水の流出量を減少させ、下水施設などへの雨水の集中を抑制する。

　また、透水性舗装の路盤に貯水された雨水の一部は、導水パイプを通じて湿潤舗装に導水、揚水された後、晴天日に路面から蒸発する。この際に路面や周囲から熱が奪わるため、路面温度の上昇が抑えられる。

ハイドロペイブの断面図（図内の丸数字は雨水の動きを示したもの）　出典：大林組プレスリリース

神戸市と共同で駅前ロータリーで実証実験

　実証実験はハイドロペイブ導入効果評価を目的に、神戸市建設局の協力を得て、JR西日本の山陽本線「鷹取」駅北口ロータリーと歩道部で実施した。ハイドロペイブ施工部分（試験区）と従来の路盤構造施工部分（対照区）で、歩道部の路面温度と、車道部の雨水浸透状況を比較検証した。

　その結果、晴天日の歩道の路面温度は対照区に比べて約6度低く、車道路盤内に一時貯水された雨水は約30分で地中浸透し、次の降雨に対する貯水空間が路盤内に確保できることを確認した。

　実証は、国土交通省の「グリーンインフラ創出促進事業」および神戸市建設局の共同研究制度第1号案件として採択されている。

　両社は今後、ハイドロペイブを人通りの多い都市部などに積極的に提案していく方針だ。

試験施工範囲　出典：大林組プレスリリース

湿潤舗装の路面状況　出典：大林組プレスリリース

試験区と対照区の路面温度　出典：大林組プレスリリース