ミライト・ワン決算、データセンター工事で売上高が過去最高 2025年度はDC/再エネ/土木の受注増狙う20205年度事業戦略(2/3 ページ)

» 2025年05月16日 19時36分 公開
[川本鉄馬BUILT]

5G/CATVは減少、固定通信が需要増に転じる

 NTT事業では前年度と異なり、固定関連の需要増、モバイル関連も品質改善投資が伸長し、前年度比87億円増の1905億円。反面、マルチキャリア事業は前年比86億円減の410億円となった。中山氏は「キャリアによって多少の濃淡はあるが、総じて受注減の影響が続いている。モバイルの5G/CATVはいずれも減少した」と説明した。

NTT事業の売上高 NTT事業の売上高 提供:ミライト・ワン

 営業利益は、2025年度から企業価値の評価指標となるEBITDA(イービットディーエー)を導入し、事業活動の収益力を正確に把握できるようになった。2024年度の営業利益は、前年度比102億円増の280億円と報告。税引前利益に支払利息や減価償却費を加えて算出するEBITDAの計算では417億円の営業利益となり、2021年度の401億円を超える過去最高の利益を得た。

 2025年度の利益回復は、2024年4月にスタートしたビジネスリスクマネジメント体制が寄与する部分が大きい。事業サイドでのリスクマネジメント強化に加え、スタッフ部門にビジネスリスク管理室を設置し、事業サイドとスタッフ部門の双方からリスクマネジメントを行っている。

 ビジネスリスク管理室では案件ごとに各分野の専門アドバイザーがアサインし、受注前のリスク評価と受注後の案件状況をモニタリング。その結果を毎月の取締役会に報告する。過去の不採算案件も分析し、得られたノウハウをナレッジ化。「みらいカレッジ」やグループ全体で共有することで、過去の失敗を繰り返さない仕組みとしている。

 成果として2024年度は、不採算案件が相当数減少。非通信分野で21%増の売上を確保し、売上増を実現しながら非キャリア部門で4ポイント増の利益を達成した。

ビジネスリスクマネジメントの運用状況 ビジネスリスクマネジメントの運用状況 提供:ミライト・ワン

中期計画の最終年度2026年度に向け、5つの分野で確実な進展

 中期戦略の柱となる「MIRAIT ONE Group Vision 2030」は2026年度が最終年度となり、5つの事業変革テーマ“5 Changes”で構成している。

新事業戦略:5つの事業変革 新事業戦略:5つの事業変革 提供:ミライト・ワン

 Change 1の「人間中心経営の進展」では、成長分野で人員の流動を図っている。2026年度までに1000人強の人財流動を実現する計画で、2024年度は累積で700人超を対象に流動を行った。

 社内の教育機関「みらいカレッジ」では、パートナー企業にも利用してもらい、想定以上となる56.3%の利用率となった。2025年度は60%超の利用率を目指す。

 ワークライフスタイルの変革では、シニアの働き方改革として、退職再雇用制度の拡大や充実に向けた人事制度の見直しにも着手した。

Change 1:人間中心経営の進展 Change 1:人間中心経営の進展 提供:ミライト・ワン

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.