YKKと太陽工業は、歯車とモーターを内蔵したユニットを後付けすることで、ファスナーを遠隔から開閉できる「自走式ファスナー」試作機の実証実験を行った。5メートルの高さの膜材や、高さ2.5メートルのエアーテントを40〜50秒程度で接合した。
YKKと太陽工業は2025年4月24日、歯車とモーターを内蔵したユニットを後付けすることで、ファスナーを遠隔から開閉できる「自走式ファスナー」試作機の実証実験を、大阪府枚方市の太陽工業工場で行ったと発表した。
自走式ファスナーは、専用ユニットをファスナーに後付けして有線式のコントローラーで操作する。実証実験では、5メートルの高さの膜材を約40秒でつなげることに成功。また、4(幅)×4(奥行き)×2.5(高さ)メートルのエアーテント2張りを約50秒で接合し、コントローラーのスイッチを押すだけで奥行き8メートルの大型テントが完成した。
従来、ファスナーは人の手で開閉する必要があるが、産業分野では高所作業時などの安全面の配慮が求められる。作業は熟練者に頼る必要があり、多くの時間を要していた。YKKは今後、実証試験で得た知見を生かし、自走式ファスナーの実用化を目指すとしている。
太陽工業は2025年4月に開幕した大阪・関西万博で、20カ所を超えるパビリオンの設営に協力し、大型膜面構造物を施工している。実験で使用したエアーテント「マク・クイックシェルター」は、災害時の医療用途も含めて2700張り以上の活用実績を持つ。
太陽工業は今後、マク・クイックシェルター大型化ニーズを分析し、自走式ファスナーの活用を提案していく。また、大型エアシェルター「BIG MQ(ビッグエムキュー)」での活用に加え、将来は宇宙空間での活用なども視野に入れて開発協力を続ける計画だ。
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