「大英図書館」再開発に三井不が参画 総事業費2000億円超で2026年着工海外プロジェクト

三井不動産は、英ロンドンの大英図書館再開発に参画する。新館建設や図書館の整備など、公共貢献を含む総事業費2000億円を超える複合開発で、総延べ床面積は約9万6528平方メートル。デベロップメントマネジャーはStanhope、建築デザインはRSHPが決定しており、2026年の着工、2032年の竣工を見込む。

» 2025年04月28日 14時00分 公開
[BUILT]

 三井不動産は、Mitsui Fudosan(英国三井不動産)を通じ、世界的な図書館の一つ「大英図書館」との共同事業契約を締結し、2032年竣工予定の複合開発事業に参画した。

 プロジェクトでは、文化・ライフサイエンスを中心とした再開発が進む英ロンドンのキングスクロスエリアで、図書館、オフィス、ラボ&オフィスを含む大規模複合施設を建設する。総事業費は2000億円超を見込み、2026年に着工し、2032年の竣工を予定している。

RSHPの建築デザインで、11階建て延べ10万m2を建設

(仮称)大英図書館再開発計画の外観イメージ (仮称)大英図書館再開発計画の外観イメージ  出典:三井不動産プレスリリース

 再開発では、公共貢献の一環で大英図書館のオフィス棟も対象とし、新館を整備して既存の図書館との親和性を守りつつ、地域に開かれた空間づくりを行う。プロジェクト全体の規模は、敷地面積約1万1239平方メートルに、SRC造地下1階/造地上11階建て、延べ床面積約9万6528平方メートル、基準階で約2000坪を誇るフロアプレートの複合施設を建設する。

(仮称)大英図書館再開発計画の外観イメージ (仮称)大英図書館再開発計画の外観イメージ  出典:三井不動産プレスリリース

 建築デザインは世界的な建築設計事務所のRSHPが担当し、デベロップメントマネジャーには、英国の不動産デベロッパーのStanhopeが就任する。

 プロジェクト予定地は、ロンドン有数の立地に位置し、ロンドンの主要鉄道駅でユーロスターの発着駅である「セントパンクラス」駅、英国内の主要都市への発着駅「キングスクロス」駅、「キングスクロスセントパンクラス」駅、「ユーストン」駅といった総乗降客数が年間で2億人を超える4駅と近接する。計画中の新路線「Cross Rail 2」の新駅も新設される予定で、エリア全体のさらなる発展が見込まれている。

計画地の狭域図 計画地の狭域図 出典:三井不動産プレスリリース

 キングスクロスエリアは、2000年代から再開発が行われ、世界的なテック企業の集積が進んでいる。近年では交通アクセスの良さ、AI研究機関のアランチューリング研究所、欧州最大のライフサイエンス研究所となるフランシスクリック研究所などのアカデミアの集積を背景に、大手製薬会社も進出している。

キングスクロスエリア キングスクロスエリア 出典:三井不動産プレスリリース

 また、当該エリアを含むキングスクロス、ケンブリッジ、オックスフォードの3都市で形成されるエリアは「ゴールデントライアングル」とも呼ばれ、ライフサイエンス/AIの拠点として英国政府がサポートしている継続的な発展が期待されている。

 三井不動産は2024年4月に策定したグループ長期経営方針「& INNOVATION 2030」で、海外事業領域での新たなアセットクラスへの投資拡大を戦略と位置付けており、今回のプロジェクトは英国初のラボ&オフィス事業となる。英国での事業拡大を目指し、国内外で培ってきたノウハウを最大限生かしながら、英国でのフラグシップとなる本事業を推進していく。

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