IHI運搬機械は、位置合わせを容易にする機能や反復作業の自動化機能などを搭載したジブクライミングクレーンの運転支援システムを開発した。経験の浅いオペレーターでも熟練者と同等の操作が行える。
IHI運搬機械は2025年2月18日、ジブクライミングクレーン(JCC)操作の安全性と効率性を高める運転支援システムを開発したと発表した。新システムは位置合わせを容易にする機能や反復作業の自動化機能を搭載し、経験の浅いオペレーターでも熟練者と同等の操作が行える。
新開発の運転支援システムは、従来の操作レバーとは別に微速巻上/巻下用のレバーを装備。1ノッチ以下での運転を可能にし、吊荷の高さ調整の精度を向上させる。運転室のタッチパネルで通り芯方向を指定し、ワンボタンでその方向への運転が行える水平直交機能も搭載した。組み合わせて使用することで、位置合わせが簡単かつ正確に行える。
オペレーターが注意散漫になりがちな反復的な作業を自動化する「宛先指定簡易自動運転機能」では、運転室のタッチパネルで宛先を指定すると、指定位置への自動運転が開始。作業時間の短縮とオペレーターの負担を軽減に寄与する。安全面では、対向機のモーション表示と、接近距離に応じて自動減速/停止を行う衝突防止機能を備え、複数クレーン稼働時の衝突を防止する。
システム開発では、HILS(Hardware In the Loop Simulator)と3Dデジタルツインを組み合わせたシミュレーションを実施した。実世界と仮想空間を融合させた検証により、制御システムの開発プロセス効率化と信頼性向上につながったという。
現在は産業リーシングの協力を得て、IHI運搬機械安浦工場で実機を使用した検証を実施中だ。今後はIHI運搬機械が販売するJCCに標準搭載を予定している。新システムはJCCだけでなく、造船業界や風力発電業界などで使用されるさまざまなタイプのクレーンへの適用も検討する。
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