西松建設は、生コン工場で発生する回収骨材を粗骨材として100%使用したコンクリートを、施工中の建設現場に適用した。捨てコンクリートとして約300立方メートルを打設し、廃棄予定の粗骨材を約270トン再利用した。
西松建設は2025年1月29日、生コン工場で発生する回収骨材を粗骨材として100%使用したコンクリートを、施工中の建設現場に適用したと発表した。玉川学園と久米設計の協力を得て、2024年7〜11月の期間に約300立方メートルの捨てコンクリートを打設。生コン1立方メートルあたり約900キロの粗骨材を使用し、廃棄予定の粗骨材を約270トン再利用した。
建設現場では数量通りの生コン打設が難しく、一般的に余分に発注するため、使用されずに工場に戻ってくるコンクリート(残コン/戻りコン)が発生する。西松建設ではコンクリート打設数量予測システムの開発、BIM活用などにより残コンや戻りコンを減らす取り組みを進めているものの、ゼロにするのは難しいのが現状だ。そこで「生コン・残コンソリューション技術研究会(RRCS)」に参画し、残コン/戻りコン有効活用の取り組みに着手した。
回収骨材は、残コン/戻りコンを洗浄して回収した骨材で、通常の骨材と見た目は変わらず、強度などの物性にも違いはない。置換率5%もしくは20%を上限に、建築物の基礎や主要構造などへの使用が認められているものの、あえて使用するメリットや需要がなく、普及していないのが現状だという。
西松建設によると、回収骨材を粗骨材として100%使用したコンクリートは、フレッシュ性状/圧縮強度ともに、通常の骨材を使用したベースコンクリート(設計基準強度Fc18、スランプ目標値15センチ±2.5センチ)と同等の結果が得られた(スランプ:16.5センチ、材齢28日強度:24.9N/平方ミリメートル)という。
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