東京都に本社を構え、管路メンテナンスや地盤改良などを手掛ける専門工事業の東亜グラウト工業では、自社訓練施設でのOJT研修や安全教育プログラムの構築に取り組む他、社長直轄の「働き方改革委員会」を設置し、経営者と従業員が意見交換しながら働き方改革を推進してきた。若年者の入職数増加や定着に向けては、キャリア自律支援に関する講話や研修などを通して、キャリアパスを可視化できる仕組みを作った。
東亜グラウト工業 代表取締役 山口及理夫氏は「当社で働くことで自己実現ができるように従業員のキャリア自律支援に取り組んでいる。必要なスキルを学んだ後には、本人の希望に応じて、若手や女性社員も含めた積極的な管理職登用を進めている。配偶者の転勤などにより通勤が難しくなった従業員は、本人が希望すればリモートワークで仕事を継続できる。こうした取り組みにより離職率は大きく低下した」と紹介。「また、労働災害ゼロに向けて移動式の『安全道場』を実施し、当社から出前で現場に出向き、自社の社員やパートナーに安全教育を実施している」と話した。
鹿児島県の総合建設業ヤマグチは、CCUS活用、処遇改善のための賃上げなどに総合的に取り組みながら、SNSを活用したブランディングを展開。若手社員インタビューや会社行事を投稿し、自社や業界の魅力発信を通して建設業のイメージアップを図ってきた。また、建設ディレクターを積極的に導入して社内の業務効率化を進めた他、女性専用の快適トイレを導入するなど女性の働きやすい環境を整備している。
ヤマグチ 代表取締役 山口克典氏は「当社は鹿児島県内でも中心地から離れた場所にあり、担い手不足は深刻だった。技術者の事務負担を軽減して残業時間を削減するため、建設ディレクターの積極的な採用に取り組んだ他、ペーパーレス化、チャットツール活用により業務の効率化を図っている」と説明した。
ヤマグチでは、会社が指定する資格を取得する際は受験費用や会場までの交通費、宿泊費に加え、予備校の学費も全額会社で負担し、社員の資格取得を支援している。SNSも活用し、「自社や建設業の魅力を発信することで、継続的な担い手確保にもつながっており、地方にありながら一定程度の人材が確保できている」と明かした。
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