第3回「建設人材育成優良企業表彰」の国土交通大臣賞に、小川工業、東亜グラウト工業、大和ハウス工業、ヤマグチの4社が選出された。CCUSの活用や処遇改善により建設産業の担い手の確保と育成に取り組む各社の取り組みを紹介する。
国土交通省内は2024年12月2日、都内で第3回「建設人材育成優良企業表彰」の表彰式を開催した。79社の応募の中から、国土交通大臣賞に小川工業、東亜グラウト工業、大和ハウス工業、ヤマグチの4社が選出された。
建設人材育成優良企業表彰は、国土交通省と建設産業人材確保・育成推進協議会が2022年度に開始。建設産業の担い手確保と育成に向けて、建設キャリアアップシステム(CCUS)の活用や技能/経験に応じた給与の引き上げ、キャリアパスに基づいた計画的な人材育成などに関して、顕著な功績を挙げた企業を表彰する制度だ。
表彰式に参加した国土交通副大臣 高橋克法氏は「建設産業の担い手の確保と育成は非常に大きな課題。今回の受賞者の取り組みを広く共有し、他の企業にも参考にしてもらいたい」と強調した。
埼玉県に本社を構える総合建設業の小川工業では、全現場でCCUSの就業履歴を蓄積できる体制を整備。CCUS推進に際しては、現場職員の負担を増やさないように、提出書類の作成などを担う「建設ディレクター」を活用した後方支援体制を構築し、前期1年間より現場での就業履歴数を4割以上増加させた。
これに加え、土木技能者の月給制への移行、週休2日推進を踏まえた給与水準の変更などの処遇改善を実施し、新卒者の定着率も上昇。男性社員の育児休暇取得にも注力し、10日以上の取得率100%を達成した。
小川工業 代表取締役 小川貢三郎氏は「男性社員の育休取得については、特別休暇として10日以上取るように経営側から口を酸っぱくして伝えてきた。男性が育休を取ることに対して当初は抵抗感があったようだが、最初の1人が取得してからは徐々に増え、意識が変わってきた」と話し、定着には経営側の強い働きかけが必要だと述べた。
大和ハウス工業は、CCUSについて、現場へのカードリーダーなどの設置率100%を達成。2025年4月からは、CCUSのレベルに応じた手当を給付する新たな能力評価制度「技能者キャリアアップ制度」の運用を開始する予定だ。自社社員だけでなく協力会社の技能者も含め、技能や経験に応じた処遇改善を計画している。
大和ハウス工業 上席執行役員 河野宏氏は「当社では全国で1日当たり2万6000人近くが現場技能者として入場している。特別な装置がない小規模な現場でも、技能者自身のスマートフォンを使用して顔認証により入退場管理ができる環境を整えている。2025年度から開始する技能者キャリアアップ制度では、1日あたり最低50円から最大2000円をレベルに応じて支給する予定だ。これに加え、デジタル技術を活用した測量や計測などを活用できる技能者にも価値を与えていく仕組みについても今後検討していく」と話した。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.