東海理化が提案するドローン産業に向けた革新的なソリューションとは、例えばマグネシウム材を活用してドローン機体の軽量化/低コスト化を図るというアイデアだ。
ブース担当者は、「マグネシウム材は、カーボン素材に匹敵する比重を持ち、剛性も高い。産業用ドローンで主流なカーボン素材(CFRP)と比べてコストが低く、加工しやすいという利点も備える。放熱性を生かして、ヒートシンクフィン(放熱フィン)を設置することで、本体部分の熱対策にも効果を発揮する。こうした特性から、マグネシウム材が機体の性能を損なうことなく、軽量化と低コストが実現で、ドローン機体のメインフレーム素材に適している」と自信を示す。
東海理化では、自動車のステアリングホイールの芯金やパドルシフトスイッチの製造にマグネシウム材を採用しており、長年の経験に裏付けられた分析だ。
さらにブース担当者は、環境面での優位性も注目すべきだと強調する。カーボン素材と異なり、マグネシウム材はリサイクルが可能で、サステナビリティーの観点からも有望な選択肢となり得るからだ。
「UWB着陸システム」は、自動車のスマートキーなどで使用されるUWB(Ultra Wide Band:超広域技術)を応用し、ドローン機体の離着陸を制御するアイデアだ。
システムの仕組みは、ドローン機体とドローンポートの双方にUWB通信機を取り付け、機体とポート間の距離をリアルタイムで測定して、ドローンポート上の機体位置をXYZ座標で推定し、同時に機体の傾き計算もできる。そのため、GPSの通信が不安定な環境下でも、UWBを使えば直陸精度を高められる。
ブース担当者はUWBのメリットについて、「現在のドローンポートでは、QRコードなどのマーカーやGPS測位が主流だ。しかし、マーカー方式はQRコード上に異物が載った場合やカメラが曇って認識できない事態が想定される。また、GPS方式では、GPS電波の状況で、精度が低下する懸念がある。UWBを活用したシステムならば、そうした心配はない」と説明する。
UWB着陸システムの検知性能について、条件にもよるが、機体がドローンポートから約10メートルの範囲内に接近すると、安定した位置把握が可能になるという。
今展では、自動車向けUWB機器を転用したコンセプトモデルを出展しており、現状では装置サイズがドローン搭載には最適化されていない。今後、機器の小型化を進めるとともに、給電用バッテリーの軽量化など、実用化に向けた技術的課題の解決に取り組む方針だ。
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