暑さ対策の最前線 空調機メーカー富士通ゼネラルの「着るエアコン!」と「クーラー搭載リュック」メンテナンス・レジリエンスTOKYO2024(1/2 ページ)

「エアコンを着る」という革新的なアプローチで熱中症対策を提案する富士通ゼネラル。「第10回 猛暑対策展」で披露した最新の暑さ対策ギアとして、首に装着する水冷式ネッククーラーとクーラーを搭載したリュックの2種類をレポートする。

» 2024年10月07日 17時43分 公開
[加藤泰朗BUILT]

 富士通ゼネラルは、「メンテナンス・レジリエンスTOKYO2024」と同時開催の「第10回 猛暑対策展」(会期:2024年7月24〜26日、東京ビッグサイト)で、最新型の水冷式のネッククーラー「Comodo gear i3(コモドギアアイスリー)」と、クーラー搭載リュック「CONDITIONIG BACKPACK(コンディショニングバックパック)」を展示した。

世界的な社会問題となった現場の暑さ対策

富士通ゼネラルの展示ブース 富士通ゼネラルの展示ブース 写真は全て筆者撮影

 2024年の夏、日本は再び記録的な暑さに見舞われた。前年に続き全国平均気温が過去最高を更新し、全国各地で猛暑日が続いた。深刻化する猛暑は、日本のみならず世界的な社会問題となっている。

 国際連合の専門機関「国際労働機関(ILO)」は、こうした状況に強い警鐘を鳴らしている。2024年7月25日に発表した「Heat at work:Implications for safety and health」と題する報告書では、気候変動が労働者の安全と健康に及ぼす影響の深刻さを指摘。特に熱ストレスによる健康被害は、生命にも関わる重大な問題へと発展していると強調している。

 オフィスや店舗などの室内環境ではエアコン使用が一般的だが、屋外や空調設備のない労働現場では依然として多くの課題が残されている。熱中症や脱水症状、暑さによる疲労の蓄積、さらには集中力や判断力の低下による作業効率の悪化など、労働者は多岐にわたるリスクに晒(さら)されている。

 こうした危機的な社会問題に対し、「エアコンを着る」という革新的なアプローチで解決に導くのが、富士通ゼネラルの絶対冷却ウェアラブルエアコン「Comodo gear(コモドギア)」だ。

エアコンが使えない屋外現場で有効な水冷式ネッククーラー

 コモドギアは、首に装着するタイプの水冷式ネッククーラー。使用者の首元に装着するネック部、冷却機構(ラジエータ)とバッテリーを格納する本体部、両者をつなぎ冷却水を循環させるチューブの3つの主要パーツで構成されている。

「Comodo gear i3(コモドギアアイスリー)」。モードを切り替えると加熱もできるため、冬場の暖房機器としても利用が可能だ 「Comodo gear i3(コモドギアアイスリー)」。モードを切り替えると加熱もできるため、冬場の暖房機器としても利用が可能だ

 ネック部の特徴は、左右と後部の3か所に配置された小型ペルチェ素子を内蔵したサーモモジュールにある。空気を介すことなく直接、頸動脈を通る血液を冷やし、効率的に体温上昇を抑制する。

 ペルチェ素子は、電流を流すと片面が冷却され、反対面が加熱される特性を持つ板状の半導体熱電素子。従来の空冷式ネッククーラーでも使用されているが、冷却と発熱が同時に起こるため、冷却パワーの増強に伴い発熱量も増加し、使用時間の経過とともに冷却効果が薄れてしまう課題があった。コモドギアは、富士通ゼネラルが誇るエアコンの技術と、自動車エンジンにも採用されている水冷技術を組み合わせ、発生した熱を空気へ逃すことで弱点を克服している。

 ネック部のサイズはSとLの2種類。マグネット式のスライド機構でベルト長さの調整が可能だ。重さはSサイズが約205グラム、Lサイズが約220グラムと、装着時にそれほど重さを感じない。

 本体部の重さはバッテリー込みで約600グラム。使用時には本体部の携帯が必要なため、さまざまな作業環境に対応できるように、ポシェットタイプやワークベストタイプなど、5種類の装着方法が用意されている。

ワークベストタイプのコモドギア収納バッグ(前/後ろ)ワークベストタイプのコモドギア収納バッグ(前/後ろ) ワークベストタイプのコモドギア収納バッグ(前/後ろ) 
ワークベストタイプのコモドギア収納バッグ(前/後ろ)ネック収納ポケットをもつワークウェアタイプ(前/後ろ) ネック収納ポケットをもつワークウェアタイプ(前/後ろ) 

 出力パワーは、NORMAL/FULL/ECOの3段階あり、ECOモードでは最大7.5時間の連続運転が可能だ。「現場の利用者からは、出力を切り替えながら使用し、1つのバッテリーで約4時間、午前と午後でバッテリーを交換して1日をカバーする使い方が多い」と富士通ゼネラルの担当者は話す。

 2020年5月の提供開始以来、コモドギアは継続的に改良を重ね、既に500社を超える企業が導入。担当者は、「屋外の現場からエアコンが使えない工場内まで、幅広いシーンで利用されている」と信頼性に自信を示した。

 コモドギアの提供対象は法人限定で、個人は想定していない。当初はレンタルのみだったが、利用者からの要望に応え、2023年5月に売り切りの販売も開始している。価格は6万6000円で、レンタルは1万1000円/月(税込み)。

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