過去の電子納品成果物を一括検索できる社内システムを構築、東急建設導入事例

東急建設は、ミエデンとともに、過去に施工した複数工事の電子成果品として納品した情報を一元的に検索できるクラウド保管サービス「Safe Storage」の東急建設カスタマイズ版を開発した。

» 2024年08月07日 14時00分 公開
[BUILT]

 東急建設は、ミエデンの電子納品による成果品クラウド保管サービス「Safe Storage(セーフストレージ)」をカスタマイズし、独自の社内システム「Safe Storage(東急建設カスタマイズ版)」を構築し、国内の土木工事を対象に2024年4月から運用している。

 開発に際しては、施工管理業務に精通した現場技術員の意見を取り入れ、機能的な改善要望をまとめて反映させたという。

複数工事の書類から必要な情報を高度に検索

 電子納品とは、「調査、設計、工事などの各業務段階の最終成果を電子成果品として納品すること」を指す。公共事業の各事業段階で利用している資料を電子化し、共有または再利用することで、効率的な業務執行や業務品質の向上、ペーパーレス化などを目的に、国土交通省発注工事では義務化されている。

 従来の保管サービスでは同一工事内の電子納品成果物だけの書類検索機能しかなく、工事完了後は社内であっても工事担当者以外は閲覧できないなどの制約があった。

 Safe Storage(東急建設カスタマイズ版)は、複数の工事をまたいだ電子納品成果物に対し、高度な検索機能を備え、キーワードを指定すれば、複数工事の書類から必要な情報を探し出し、閲覧できる。

 東急建設では、従来の電子納品成果物は、汎用的なファイルストレージサービスに格納していたため、成果物の内容を確認する際は、個別のビュワーを利用し、工事ごとに内容を調べていく手段しかなかった。複数の工事の中から参考としたい書類を探す場合は、OCR機能を用いた全文検索で探していたが、書類に含まれる一部のファイルしか検索できず、その他の関係しているファイルを見つけるのに多くの時間を要していた。

 Safe Storage(東急建設カスタマイズ版)は、自社に保有する過去の電子納品成果物のXMLファイルに対し、高度な検索機能を備え、キーワードに一致するファイルだけでなく、関連付けされているファイルも同時に探せる幅広い検索範囲を持っている。そのため、発注者との契約上利用制限があるものを除き、関連する資料を一括して探せるようになった。検索条件では、「発注者名」「工事帳票種類」などを選べるので、プルダウンメニューで条件を絞り、必要な案件やファイルの情報を見つけ出せる。

Safe Storage(東急建設カスタマイズ版)の画面 Safe Storage(東急建設カスタマイズ版)の画面 出典:ミエデン、東急建設プレスリリース

 土木技術員が活用すれば、知りたい工種で過去の工事事例を容易に検索することが可能になり、検索に費やす労力を削減し、これまで現場ごとや個人の知識と経験に依存してバラツキのあった書類作成のクオリティー向上が期待される。

 将来は、現在格納されている国交省以外の事業者の電子納品成果物や写真検索への対応に加え、土木工事以外にも対象を広げることで、東急建設以外での導入にも耐えうる効果的なシステム構築の実現を目指す。

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