東急建設は、山岳トンネル工事のロックボルト工を対象に、省人化/省力化技術パッケージの実証を実施し、作業編成人員を約40%削減できると確認した。
東急建設は2026年5月8日、山岳トンネル工事の支保部材ロックボルト工の省人化/省力化を目的に、国土交通省近畿地方整備局発注の「有田海南道路1号トンネル工事」で、施工機械/材料/ICT機器を組み合わせた「省人化/省力化技術パッケージ」の実証を実施したと発表した。作業編成人員を約40%削減し、切羽内への立ち入りを不要としたことで安全性が向上した。
実証では、2ブームのロックボルト施工機「ボルティンガー」やナットを使用しないロックボルト、ドライモルタル自動定量供給装置「らくらくぞうさん」と繰り返し使用可能なリターナブルバッグ「ふたたび君」を組み合わせた「モルタル自動供給システム」、ロックボルトを定着させるモルタル流量算出/記録システム「モルサポ」、従来比40%コンパクト化したICTロックボルト引抜試験装置「SMERTジャッキ」などの要素を組み合わせ、施工と施工管理の両面で省人化と省力化を図った。
山岳トンネル工事において、掘削直後の切羽付近は肌落ちなどの災害リスクが高い。ロックボルト工は切羽付近の作業が集中し、穿孔位置のマーキング、長尺で重量のあるロックボルトの高所での挿入、約20キロのモルタル袋投入など、危険や負担を伴う人力作業が課題となっていた。
今回、省人化/省力化技術パッケージの導入で、切羽範囲内のロックボルト挿入、モルタル充填、ナット緊結などの作業を機械化と簡略化を実現。標準5人(オペレーター2人、作業員2人、モルサポ操作1人)の作業編成を3人(オペレーター2人、モルタル自動供給システム操作1人)に削減した。切羽近傍への作業員の立ち入りを不要にする運用も確立し、安全性の向上を確認した。
さらに、ロックボルト1本(長さ3.0メートル)当たりの作業時間は国土交通省の土木工事標準積算基準との比較で標準並み、所定の出来形の精度と品質も確保していることを確認した。
実証ではロックボルト施工機の2ブームそれぞれに1人ずつオペレーターを配置したが、操作習熟後は一方のブームが自動穿孔中に他方ブームで位置合わせやモルタル注入を並行できるようになった。2ブームをオペレーター1人で同時に運用し、ロックボルト工の全工程を完結できる見通しを得た。
また、今回はナットを使用しないロックボルトを採用したが、標準のロックボルトでも穿孔からロックボルト挿入までを同じ編成で機械化できることも確認した。さらに、オペレーターが運転席からタブレット端末を介してモルタル自動供給システムを遠隔操作することで、システムの専任操作員を不要にできることも確認。最終的にはオペレーター1人で施工が可能で、80%の省人化が実現できる見通しを示した。
施工管理については、軽量化/コンパクト化したICT試験システムにより計測作業人員を標準2人から1人に削減。品質管理記録の作成時間も短縮した。今後は穿孔データを活用した出来形調書の自動作成など、省力化をさらに進める。
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