大林組とセメダインは、ほたて貝殻の粉末を利用した2成分形変成シリコーン系シーリング材を共同開発し、大阪・関西万博のパビリオン新築工事に適用した。
大林組は2024年6月21日、セメダインと共同で、ほたて貝殻の粉末を利用した2成分形変成シリコーン系シーリング材「スキャロップシール」を開発し、2025年日本国際博覧会(大阪・関西万博)の「ウーマンズ パビリオンin collaboration with Cartier」新築工事に適用したと発表した。
両社が開発したスキャロップシールは、目地や接合部のシーリング材に配合される炭酸カルシウムの約30%を、廃棄予定のほたて貝殻を粉砕して製造したバイオマスフィラーに代替したもので、シーリング材製造時におけるCO2排出量を低減する。
炭酸カルシウムの原料の一部を、従来の石灰石からほたて貝殻に切り替えることで、製造過程で発生するCO2排出量はマイナス0.44キロ-CO2/キロ(石灰石使用時:0.0879キロ-CO2/キロ)となる。
使用頻度の多い一般的な2成分形変成シリコーン系シーリング材とほぼ同等のコストで製造できる上、同様の耐水性や耐熱性を実現する。また、仕上げ塗料との密着相性も良く、液垂れなども抑制する。
なお、ほたて貝殻は分解されにくい性質から焼却処分が難しく、処分方法が課題となっているが、貝殻を粉砕してバイオマスフィラーとして再利用することで、廃棄物の削減にもつながる。
両社は2024年4月に、スキャロップシールのJIS(日本産業規格)認証を既に取得済みで、今後はスキャロップシールの普及拡大を図る。
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