三井不動産レジデンシャルは、大規模修繕工事の長周期化を図るべく、分譲マンション建築時に高耐久部資材の採用を開始する。また、これまで屋上と外壁から屋内への漏水保証は新築時から10年後までだったが、新築時から18年後までに延長する。同社の調べによれば、こういったケースで漏水保証期間が18年間というのはマンション業界で初となる。今回の取り組みは、埼玉県新座市で2022年3月に着工した新築分譲マンション「パークホームズ志木コンフォートテラス」を皮切りに、同社が開発する分譲マンションで順次展開していく。
三井不動産レジデンシャルは、大規模修繕工事の長周期化を図るべく、分譲マンション建築時に高耐久部資材の採用を開始し、屋上と外壁から屋内への漏水保証について、期間を新築時から18年後までに延長することを2022年5月10日に発表した。
同社は、これまで多数のマンションを分譲してきたが、近年マンションの使用環境などが変わり、建物完成後の維持・管理についても時代の変化に応じた対策が求められている。
そこで、提供しているレジデンシャル・カスタマーサービスの反響や関連会社の三井不動産レジデンシャルサービスが積み上げた約21万戸の管理実績、約600件の入居者を対象に2021年度に実施した調査の結果を踏まえ、分譲マンション建築時に高耐久部資材を導入することを決定した。
具体的には、高耐久部資材を採用することで、長期修繕計画上の大規模修繕周期を国土交通省ガイドライン推奨周期の12〜15年よりも長い18年へ長周期化する。
これにより、同社の試算上、国土交通省ガイドライン推奨周期(12年周期)と比べて、60年間で大規模修繕工事回数を2回減らせる他、約14%のコスト削減(三井不動産レジデンシャルの標準的な建物仕様に基づく算出)を見込め、修繕委員会の立ち上げや総会決議など、管理組合の労力を軽減。なお、実際の大規模修繕工事実施時期などは管理組合で決定される。
使用する高耐久部資材は、「有機系接着剤」「高反射塗料」「外壁シーリング材」の3点。有機系接着剤は、弾力性がある接着剤で、「有機系接着剤張り工法」を用いて、外壁タイル張りを行うことで、接着界面に発生する応力を低減し、コンクリート表面の高圧水洗浄とモルタル張り工法に比べ、タイル剥離や剥落防止の性能が高められる。
高反射塗料は、メーカー推定耐用年数が23〜25年のもので、塗布することで太陽光による防水層への蓄熱を抑制して熱劣化を防ぎ、例えば屋上のアスファルトに利用すれば、屋上の防水性を維持し、太陽光をより多く反射させると、熱エネルギーへの変換量が低減し、ヒートアイランド現象を緩和する。
外壁シーリング剤には、メーカー推定耐用年数が20〜25年で、耐候性と耐久性に優れたシーリング材(SA-2)を採用。
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