ドローンの新製品としては、国産のリチウムイオンバッテリーを搭載する汎用モデル「GLOW.L(グロウ.エル)」と、エンジン搭載のハイブリッドドローン「GLOW.H(グロウ.エイチ)」の2機種がある。
GLOW.Lは無駄なものを一切なくした機種で、冨井氏が「ドローンプラットフォーム」と表現するシンプルなモデル。フライトコントローラーにはドローンに広く使われているオープンソースの「Pixhawk(ピクスホーク)」を採用し、操作系にはグラフィカルで直感的に操作できるコントローラーを用いている。搭載可能な機器類の重さは最大5キロで、アミューズワンセルフが取り扱うレーザー機器の全てに対応する。
また、LTE通信機能を標準装備し、飛行中の映像を送信して多くの人が同時に視聴でき、クラウドを介した遠隔操縦も可能だ。
他にも、AI処理にも使われるNVIDIAのエッジデバイス用スーパーコンピュータ「Jetson NX」も搭載している。冨井氏は、「ハイスペックなコンピュータを搭載しているので、ドローン業務の最適化が実現する」と話す。
シンプルなGLOW.Lに対し、GLOW.Hは長い飛行を想定したモデルで、エンジンで発電し、バッテリーに給電しながら飛行する“レンジエクステンダー”タイプのドローンとなる。レーザー機器を搭載した状態で2時間以上(ペイロードなしなら4時間)も連続飛行し、広範囲のスキャンを一気に行える能力を備える。飛行時間としては、最長11時間30分の記録があるという。
エンジン搭載ということで、稼働時の騒音が心配だが、国土交通省との検証では、高度50メートルまで上昇させた場合、DJI製バッテリードローン「Matrice 300 RTK」と同等の騒音との結果が得られた。
ちなみに、採用されているエンジンはラジコンのエンジンで有名な小川精機製。信頼性が高く、メンテナンスもし易い。GLOW.Hにも、フライトコントローラーはPixhawkで、LTE通信による遠隔操作にも対応している。
GLOW.HがGLOW.Lと異なるのは、衛星通信サービスのInmarsat(インマルサット)を利用した人工衛星から地上局へデータを送信する“衛星テレメトリー”が使える点だ。長時間の連続飛行が可能なGLOW.Hでは、無線やLTEなどが入らない場所での飛行も考えられる。こうした際でも、衛星テレメトリーが使えれば、機体制御や情報収集ができる。
さらに、GLOW.Hには日本のQZSS(準天頂衛星システム)「みちびき」のL6帯信号を使用することで、補正通信を行わなくても、高精度な位置情報を取得する能力も備えている。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.