日立建機とEIZO、サイレックス・テクノロジーは、遠隔地からの油圧ショベルの操作性と作業効率を向上する「遠隔操作ソリューション」を開発した。2024年度中にユーザーの工事現場で実証試験を行い、具体的な効果を検証する。
日立建機は2024年4月4日、EIZOとサイレックス・テクノロジーと共同で、遠隔地からの油圧ショベルの操作性と作業効率を向上する「遠隔操作ソリューション」を開発したと発表した。実用化に向けて、2024年度中にユーザーの工事現場で実証試験を行い、具体的な効果を検証する。
日立建機は2020年8月、自律型建設機械用のシステムプラットフォーム「ZCORE(ズィーコア)」を開発、さらに2023年10月にはZCOREに基づく遠隔操作ソリューションに対応した油圧ショベル「RBT(アールビーティー)シリーズ」の受注を開始した。
ZCOREやRBTシリーズで得たこれまでの知見やユーザーへのヒアリングを通して、建設機械の遠隔操作には課題も明らかになっている。カメラ映像や操作信号などの送受信時に通信の遅延や遮断が発生することや、モニターに映る工事現場の映像に立体感や奥行き感がないため操作に時間がかかることなどだ。
今回、日立建機がユーザーとの実証を通じて蓄積したノウハウやデータと、油圧ショベルRBTシリーズ、さらにEIZOの「3D画像処理技術」「高圧縮映像伝送技術(ストリーミングゲートウェイ)」と、サイレックスの通信技術を組み合わせて、遠隔操作ソリューションを開発した。
EIZOの3D画像処理技術ストリーミングゲートウェイは、内視鏡手術やセキュリティ監視の映像表示に使用されている。今回開発したシステムは、この技術を活用し、油圧ショベルの遠隔操作時にオペレーターが確認するモニターに、3D映像を遅滞なく表示する。対象物の微妙な色合いの変化も緻密に再現し、遠近感の把握や、土砂の色の違いから水分含有量が予測しやすくなるなど、リアルタイムに状況判断が可能だ。3D映像の閲覧には、軽量な防曇加工のめがねを着用して、オペレーターの快適な視界を確保する。
さらに、産業機器分野の通信機器やソフトウェアの構築で実績があるサイレックスの通信技術により、施工現場の通信環境を強化する。施工現場にアンテナを複数設置してメッシュ状にWi-Fi環境を構築することで、山間部を含む広大な施工現場でも安定した通信環境で遠隔操作が行える。
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