鹿島建設とシャープは共同で、動画と静止画をハイブリッドに組み合わせて送信する山岳トンネル工事向けの遠隔コミュニケーションシステムを開発した。実際のトンネル工事で現場実証を行ったところ、通信環境が良好でないトンネル坑内の切羽の状態を目視判定した。
鹿島建設は2024年2月27日、動画と静止画をハイブリッドに組み合わせて送信する山岳トンネル工事向けの遠隔コミュニケーションシステムを、シャープと共同開発したと発表した。端末で撮影した映像を遠隔地と共有しながら、必要に応じてデータ容量が大きい高解像度の静止画で送信し、狭いネットワーク帯域でも現場の状況を詳細に共有する。
実際のトンネル工事現場で同システムの現場実証を行った結果、通信環境が良好でないトンネル坑内の切羽の状態を目視判定できることを確認した。
新システムは、一般的な高解像度カメラをタブレットPCに装着した撮影端末を使用して遠隔臨場を行う。現場撮影者は、タブレットの画面で動画と静止画を切り替えながら、遠隔参加者から指示された場所を撮影、送信する。遠隔参加はWebブラウザから動画や画像を確認し、詳細に確かめたい場所があればマウスクリックでポインタを表示して配信側へ撮影を指示する。
トンネル内の全体状況の把握など通常のコミュニケーションでは動画を、切羽の地質評価時には高解像度の静止画像を適宜送信するハイブリッドコミュニケーション技術により、遠隔臨場を実現した。
鹿島建設は新システムを、滋賀県大津市の新名神高速道路大津大石トンネル工事に導入し、発注者も交えてトンネル切羽の遠隔臨場を実施した。動画での確認を行いながら、高い解像度が必要な情報は静止画として送信することで、遠隔参加者に詳細な現場状況を共有できることを確認した。現場撮影者は切羽から離れた安全な位置から動画と静止画を送信するため、作業の安全性も向上したという。
鹿島建設は今後、動画と静止画送信の手法や、ユーザーインターフェースを中心にシステムの改良を進める。山岳トンネル工事の遠隔臨場の高度化を図るとともに、山間部や沿岸部などの通信環境が整備しづらい現場の管理、安全巡視の遠隔化などにも活用範囲を広げることも検討している。
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