長谷工コーポレーションはNHK財団が保有する映像処理技術を活用した「厚さ計測システム」を開発した。施工前後に撮影した画像データを解析して厚さを自動算出する。今後、建設現場のさまざまな施工工程でシステムの検証を進め、2024年度中の本格導入を目指す。
長谷工コーポレーションは2024年1月30日、NHK財団が保有する高度な映像処理技術を活用した「厚さ計測システム」を開発した。施工前後に同じ位置から撮影した画像データをPCに取り込み、プログラム解析して厚さを自動算出する。現場での計測作業の回数を削減し、計測精度も高める。今後、建設現場のさまざまな施工工程で検証を進め、2024年度中の本格導入を目指す。
厚さ計測システムでは、まず、計測箇所の正面に設置したプロジェクターからグリッドを投影し、斜めからデジタルカメラで撮影する。次に、施工前後で撮影した画像データをPCに取り込み、グリッド交点の差を解析して、厚さを自動算出する。
断熱性能確保のための発泡ウレタン吹付後の厚さ確認や、コンクリート打設後の不陸(凹凸)確認、床や壁、天井などの施工前の下地の不陸確認などへの使用を想定している。
建設現場では断熱工事、床や壁の不陸調整などの施工工程で、設計上確保が必要な厚さの計測や不陸の確認を行う。ほとんどの計測作業は手作業で多くの時間がかり、また、精度確保のために計測頻度を増やしていることから、作業の効率化が課題となっていた。
長谷工コーポレーションはNHK財団と「先端映像技術の建築分野への展開」に関する共同研究契約を締結し、財団が保有する高度な画像処理技術を活用した寸法計測技術や、建物診断技術の研究を進めてきた。今回開発した厚さ計測システムは研究成果の第一弾だ。長谷工コーポレーションではこの研究成果を、2023年12月26〜27日に開催された「映像情報メディア学会2023年冬季大会」で発表した。
長谷工コーポレーションでは今後も、異業種が保有する先端技術を建築分野に利用して建設現場の作業効率化を図り、施工品質の向上と働き方改革を推進する。
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