未来機械は、竹中工務店やレンタルのニッケンとともに開発した墨出しロボットを東南アジアなどのグローバル市場で販売に乗り出した。未来機械にとっては、中東向けソーラーパネル清掃ロボットに続く、海外進出となる。
未来機械は、シンガポールのサンズ エキスポ&コンベンションセンターで開催された東南アジア最大級のイノベーションに関する展示会「SWITCH 2023」(会期:2023年10月31日〜11月2日)に、高精度位置計測機能付き自走式墨出しロボットを出展し、海外市場に進出した。
墨出しロボットは、竹中工務店、レンタルのニッケン、未来機械が共同開発し、日本国内ではレンタルのニッケンが墨出しロボット「SUMIDAS(スミダス)」の名称でレンタル提供している。
現状では建設現場の墨出しは、熟練職人が図面を見ながら墨ツボを使って、基準となる線を手で描いている。熟練職人と補助作業者の2人作業のため、墨出し品質やスピードは職人のスキルによって決まってしまう。たとえ熟練者であっても、人である以上ミスやバラつきもゼロではなく、多くの時間を墨出し作業に費やし、施工や取り付け工事などのより付加価値の高い仕事に時間を割きにくかった。
不正確な墨出しは、構造物の位置ずれや後工程に悪影響を及ぼすため、精度の高さが求められる一方で、高齢化や人手不足による熟練作業者不足に加え、若手への技術承継も難しいとされていた。
墨出しロボットは、CAD図面データをもとに測量機で正確な現場位置を確かめながら、精度の高い墨出しを自動で行う。作業者は必ずしも熟練職人の必要はなく、1人で作業が行える。夕方現場を離れる前に墨出し作業のセッティングだけ済ませておけば、夜中にロボットが自動で作業を完了しておくことも可能になる。作業スピードは熟練職人には及ばないものの、手順さえ正しければ間違いやバラつきもほとんどなく、非熟練作業者でも熟練作業者と同等、もしくはそれ以上に高い精度で墨出し作業が実現する。
ロボットと併用する測量機は、ライカジオシステムズ製「Leica 3D Disto」。ロボット自体のスペックは、重さ22キロ、走行速度は毎秒370ミリ、作業可能範囲は測量機を中心で直径約40メートル、印字は工業用油性ペン、3時間の充電で連続約6時間の稼働に耐える。墨出し時の誤差は±3ミリ以下に抑え、1位置当たりの印字範囲は200×200ミリ。
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