検出機能は、VORTEXで対象カメラを選び、画面上で操作することで簡単に設定可能だ。例えば画面上にマウスでラインを引いて対象エリアを指定すると、エリア内に人や車両が入ったことが分かる。対象エリアではなくラインだけを設定して、ラインを超えた人や車両でも検出する。
VORTEXでは、侵入者の検出を各カメラが個別に行うため、処理が早く、侵入者をリアルタイムで検出して管理者に通知する。
さらに、検出された人や車両は、カメラ内のAIで処理され、オブジェクトのメタデータとして文字情報に置き換え、データと映像とを紐(ひも)づけてクラウド上に保存する。仮に映像だけの保存では、蓄積された膨大なデータから目的のシーンを探すのは骨が折れる。映像にメタデータで文字による情報が付与されていれば、検索も素早く行える。メタデータはカメラ側で付与するため、クラウドの負荷も軽減できる。
クラウドのサーバ上にメタデータとともに記録された各カメラ映像は、強力な検索機能を使って、絞り込みが可能だ。検索機能をVORTEXでは、「ディープサーチ」と呼んでいる。
ディープサーチは、人であれば男性か女性か、大人か子供かといったフィルターで指定。着ている服の色の選別にも応じ、上半身と下半身で別々に指定可能だ。こうしたフィルターによる絞り込みを組み合わせれば、探し出したい人を特定できる。
テーマパークやショッピングセンターといった多くの人が集う場所で迷子(子供)を探す際には、ディープサーチは役立つ。検索対象として子供を選び、さらに性別や服の色を指定して検索することで、迷子の移動履歴や直近の位置を短時間で辿(たど)れる。
VORTEXは、一般的な自動車、トラック、バスの他、オートバイや自転車などの車両種別にも応じているため、駐車場などでの“当て逃げ”対策などでは十分な効果を発揮する。現在は、オートバイと自転車は色検索に未対応だという。
もちろん、こうした追跡機能は、来場者の動線を追うようなマーケティング分析にも使える。VORTEXのソリューションには、防犯とマーケティング分析といった完全に別の目的を同一のシステムで両立できる汎用性を備えている。
今回紹介したVORTEXのクラウド型カメラソリューションは、2024年1月から日本での展開が予定されている。
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