非GPS環境でも、方位を正確に検出できる住友精密工業の「Northfinder」。建設工事の掘削現場をはじめ、航空機や船舶の運航システムなどでも用途拡大の可能性を秘める。
航空宇宙機器などの精密機器を手掛ける住友精密工業は、「メンテナンス・レジリエンスTOKYO2023」(会期:2023年7月26〜28日、東京ビッグサイト 東展示棟)の構成展「第9回 i-Construction推進展」で、「Northfinder(ノースファインダー)」を冠した3つの商品を紹介した。
Northfinderとは、住友精密工業が開発した地球の自転角度の測定可能な高感度MEMS(Micro Electro Mechanical Systems:微小電気機械システム。メムス)ジャイロと、独自のアルゴリズムを組み合わせることで、GPSに頼ることなく方位を検出できる技術を指すブランド名。
ブース担当者は、「Northfinderの特徴は低価格であること。スマートフォンやゲーム機器にも搭載されるMEMS技術を採用することで、光ファイバージャイロ(FOG:Fiber-optic Gyroscope)やリングレーザジャイロ(RLG:Ring Laser Gyroscope)といった光学式ジャイロを用いる姿勢方位基準装置(AHRS:Attitude Heading Reference System)と同等の精度を保ちながら、価格を3分の1〜2分の1程度に抑えている。振動が多く発生する掘削現場に対応する耐久性の高さも、強調したい。小型や低消費電力という点でも、光学式ジャイロを用いるAHRSよりも優れている」と説明する。
Northfinder A/GCAH-12Cは、36(幅)×43(高さ)×266(奥行き)ミリの直方体をした高精度なMEMS慣性センサー(ジャイロセンサーと加速度センサー)を搭載したAHRSだ。地中など、GPSや磁気方位コンパスを使用できない場所でも正確に方位角や姿勢角を検出する。
担当者は、「現在は、掘削現場で掘削した孔の方位を確認するのに利用されることが多いが、航空機や船舶の運航システムなどにも適用可能なので、今後はそうした分野にもアピールしていきたい」との意気込みを語った。
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