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» 2023年08月28日 11時00分 公開

道路インフラ点検“義務化”の成果からみる老朽化の現状「点検は進むも、劣化した3万橋が未対策」産業動向(1/2 ページ)

2014年度に始まった道路インフラの定期点検義務化。2022年度までに2回が実施され、橋梁は83%が点検済みとなったものの、地方自治体などで早期に対策すべき橋梁のうち半数以上が未着手で、老朽化対策に差がある実態が分かった。

[BUILT]

 国土交通省 道路局は2023年8月23日、2013年度の道路法改正を受け、道路構造物を対象にした5年に1回の点検が義務化され、2022年度までの点検や診断結果、措置状況などをとりまとめ、「道路メンテナンス年報」として公表した。

 道路インフラの点検は、2014年度から全ての橋梁(きょうりょう)、トンネル、道路附属物などを対象に、5年に1回の道路管理者による定期点検が義務付けとなった。これまでに、2018年度に1巡目の点検が完了し、2019年度から2巡目点検が実施されている。

2巡目で点検は進むも、早期に対策すべき橋梁のうち58%が未着手

 道路メンテナンス年報によると、2019〜2022年度の4カ年に行った2巡目の点検状況は、橋梁60万2682カ所で83%、トンネル8081カ所で73%、道路附属物など3万2854基で78%と、1巡目(2014〜2018年度)の終了時と比較しても着実に進捗している。

橋梁、トンネルなどの2巡目(2019〜2022年)の点検実施状況と点検結果 橋梁、トンネルなどの2巡目(2019〜2022年)の点検実施状況と点検結果 出典:国土交通省プレスリリース

 2巡目点検(2019〜2022年度)で、「早期に措置を講ずべき状態(区分III)」「緊急に措置を講ずべき状態(区分IV)」と判定さたものは、橋梁8%、トンネル30%、道路附属物など12%となり、特に割合が高かった合計4350カ所のトンネルで顕著な劣化が認められた。

橋梁の損傷事例 橋梁の損傷事例 出典:国土交通省プレスリリース

 詳細にみると、橋梁では、2巡目点検で区分IIIとVIに判定された4万8002カ所のうち、修繕に着手した割合は、2022年度末時点で「国土交通省」1703カ所で55%、「高速道路会社」915カ所で41%、「地方公共団体」1万7780カ所で42%(内訳:「都道府県政令市」7475カ所で52%、「市区町村」1万305カ所で36%)。既に修繕が完了した割合は、「国土交通省」11%、「高速道路会社」13%、「地方公共団体」15%で、早期に対策すべきだがまだ未着手の橋梁は、全国2万7604カ所で58%と半数以上が残っている。

2巡目点検(2019〜2022年)で、区分IIIとVIに判定された橋梁の修繕など措置の実施状況 2巡目点検(2019〜2022年)で、区分IIIとVIに判定された橋梁の修繕など措置の実施状況 出典:国土交通省プレスリリース

 なお、1巡目も含むと、区分IIIとIVで全国計5万8888カ所に対し、まだ未対策の橋梁は、3万1180カ所で53%となっている。

過年度の点検(2014〜2022年)で、橋梁の判定区分ごとの施設数と割合 過年度の点検(2014〜2022年)の橋梁の判定区分ごとの施設数と割合 出典:国土交通省プレスリリース
過年度の点検(2014〜2022年)で、橋梁の区分IIIとIVの措置実施状況 過年度の点検(2014〜2022年)で、橋梁の区分IIIとIVの措置実施状況 出典:国土交通省プレスリリース

 1巡目だけに限れば、「国土交通省」の対策着手率は99%(完了率70%)、「高速道路会社」は95%(同75%)だが、「地方公共団体」は75%(同56%)と低水準。地方公共団体の1718団体別では、着手率100%が636団体(37%)ある一方で、着手率50%未満が274団体(16%)となり、措置の実施状況に差が表れている。

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