深刻な人材不足は、バックオフィス部門も同様です。特に、専門のバックオフィス部門や専任の担当者を置いていない、置けない企業も多くあります。ところが「経理業務にかかる業務時間は?」という質問には、月間平均で約107時間(下図)の回答で、人材不足にもかかわらず、経理業務にも人員を割かなければならない状況が明らかになっています。
経理業務は、請求関連業務として在庫確認や見積もりの作成といった受発注処理業務に12.8時間、請求書の作成や発行に11.6時間もかかっており、他にも回収業務(売掛金などの口座への振り込み確認作業、会計ソフトへの消込作業、未回収代金の催促や回収)などがあります。支払い関連業務については、新規取引審査や経営状況の把握に10.5時間を要し、さらに経費精算の業務時間が加わり、こうした現状を打開するためには、経理業務の効率化や省力化が急務となっています。
経理業務の中でも、とりわけ負担となっているのが「決済業務」です。最近ではクレジットカード決済やその他のキャッシュレス決済の利用も増えてきてはいますが、銀行振込や手形・小切手、現金といった決済手段が大半を占めています。
もちろん、決済方法を効率化したいと考える企業も多く、「手間だと思う決済方法は?」という質問に対し、請求方法では銀行振込が16.8%、手形・小切手が16.5%、現金が15.8%となっています。今後、効率化したい決済方法について、銀行振込、手形・小切手、現金が多く挙げられており、「ミスを減らしたい」という属人的な作業によるリスクだけでなく、「面倒だから」あるいは「別の業務に専念できるようになるから」といった業務効率を課題となっていることが明らかになっています。
また、「1カ月の小口決済実施実施回数は?」という質問では、21回以上と答えた企業が12.9%という結果でした。建設・建築業界では、習慣的に「現場への差し入れ」や「飲食費」などが小口決済で行われることが多く、もちろん他の業界と同様に「移動の交通費」などの経費精算も発生します。作業時間がかかるといわれている10万円以下の小口決済が、月に20回以上も発生していると考えると、こうした業務を効率化したいと考える企業が多くなるのも納得の結果だと思います。
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